アメリカ為替政策報告書に見るトランプの不満

ドル高へのいらだちとユーロ圏への不信感

訪日中も安倍首相に比べて笑顔が少なかったトランプ大統領(写真:ロイター/Jonathan Ernst)

5月28日、米財務省は為替政策報告書を公表した。予定されたタイミング(4月15日付近)から約1カ月半遅れての公表となる。今回も為替操作国に認定された国はなかったが、監視リストには中国を筆頭に日本、韓国、ドイツといったなじみの国々が掲載される一方、インドやスイスは除外された。その代わりに新たに加わったのがアイルランド、イタリア、ベトナム、シンガポール、マレーシアであり監視対象国は6カ国から9カ国に増えている。

なお、リスト掲載国に具体的な制裁は伴わないが、今後6カ月をかけた継続的な審査の対象になる。中国、日本、韓国、ドイツは監視リストが2016年4月に登場して以来掲載されてきた国であり、これらの国々との通商協議がしばしば話題になるのは偶然ではない。方針が二転三転しやすいトランプ政権において「(対米)貿易赤字は悪」という評価軸は徹底されている。

改めて監視リスト入りの基準を確認しておくと、①対米貿易黒字が年間200億ドル以上、②経常黒字がGDP(国内総生産)比で2%以上(前回までは3%以上だった)、③一方的かつ継続的な外貨買い為替介入を行い、それがGDPの2%以上かつ過去12カ月のうち6カ月間で実施されている(前回までは8カ月間で実施)の3つ。このうち、2つを満たすと「監視リスト」、3つを満たすと「為替操作国」として認定される。

やはり中国の扱いは突出している

なお、中国は①しか満たしていないが「米国の貿易赤字において巨大かつ不相応なシェアを占めている」ということを理由に監視リストに掲載されている。トランプ政権の通貨・通商政策の評価軸が「過剰な黒字は悪」であることを裏づける判断と言える。報告書末尾に掲載される「主要貿易相手国の評価基準」の掲載順序が「監視対象か否か」ではなく、あくまで対米貿易黒字額の順になっていることにも、その思いは透けて見える。

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