日本の株価が米中貿易戦争で下がると読む理由 楽観的な「早期妥結期待」はかなり危うい

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米中貿易戦争が早期に妥結することは難しい。そのとき最も影響を受けるのは日本株だ(写真:ロイター/アフロ)

国内外の市場の目は、引き続き米中通商交渉に注がれている。あたかも、童謡「ずいずいずっころばし」の「俵のねずみが米食ってちゅう」のように、米(米国)とちゅう(中国)の関係に一喜一憂だ(この童謡を使用した意味については、後述する)。

そうした「米中騒ぎ」は以前からだが、先々週の15日(水)に米商務省が安全保障上の懸念がある海外企業のリストに中国のファーウェイを追加したことが、先週の市場でも半導体・電子部品関連株を中心に大きな悪材料とされた。

「早期妥結期待」は危うい

一方で、6月下旬に大阪で開催されるG20首脳会合に、ドナルド・トランプ大統領と習近平主席が参加するため、「その際米中首脳会談が設けられ、通商交渉に進展があるかもしれない」、との期待があるようだ。

加えて先週23日(木)にトランプ大統領は、ファーウェイに対する禁輸措置について「(貿易交渉で)合意できれば何らかの形で取引に含むかもしれない」とも述べた。そのため、「アメリカが『中国側が大いに譲歩するのであれば、ファーウェイへの禁輸措置を解除してやってもよい』、と持ちかけるのではないか」との観測も広がったようだ。さらにトランプ大統領は「(中国政府が)多くの企業が中国から出ていくのを喜ぶとは思えない」と語り、早期に交渉が妥結すると主張したことも、「これは好材料だ」と判断した向きが多かったと言われる。

しかし、そうした早期妥結期待は禁物だろう。今のところ米中間の隔たりは、いわゆる構造問題(知的所有権侵害、巨額の補助金、先端技術の移転強要)を中心にかなり大きい。

それだけではない。さらにアメリカは、一段と強硬な姿勢を示している。
たとえば対中輸入に対するアメリカの関税引き上げについては、中国企業が、アメリカ国内で中国製品の価格が上がり売れ行きが落ちることを避けるため、米ドル建ての輸出価格を引き下げて、関税引き上げの影響を全部でないとしても一部相殺することがありうる。その際、米ドル高・元安に為替レートが振れれば、中国企業にとって、中国元で測った輸出価格はそれほど低下せずに済むかもしれない。

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