「野球医学クリニック」開業した男の選手育成論

5月開業、その経緯を馬見塚尚孝医師に聞いた

「このとき、同院の婦人科医師松田貴雄先生に出会いました。松田先生は、女性アスリートの医学的問題を月経困難症などの婦人科領域に限らず、貧血や亜鉛欠乏症、さらには疲労骨折まで広範囲にわたってサポートしていました。松田先生が女性、私が男性のアスリートを幅広く診療していくことになったとき、ひじが痛いといって外来に来た男性アスリートの話をよく聞いてみると、貧血や亜鉛欠乏症と診断されることがありました。また、これらは身長の伸びにも影響することも知りました。

今まで整形外科とスポーツフィールドとサイエンスでやってきましたが、それだけだと選手にとって最適な指針を示していないと痛感しました。選手の話を整形外科領域に限らず聞くようになり、患者さんの診療をしながら得られたデータをまとめていると、これまでやっていた診断・治療、予防に加えて『育成』にかかわることができると知ったんです」

治療と予防に『育成』が加わったクリニック

整形外科領域のスポーツクリニックは全国にも多々あるが、選手たちの整形外科領域からスポーツ内科領域、女性アスリート医学領域まで包括的にやっている医療機関はまだ少ない。だから、日本全国から患者さんが集まるように交通アクセスのよい場所を選んでいるうち、ほとんど縁もない武蔵小杉で開業することにしたという。

「このクリニックでは、『治療』『予防』に『育成』を目指すことにしました。ですからこのクリニックでは、医師以外の専門家を雇用しました」

日本スポーツ振興センターでジュニアアスリートの発掘・育成をしていた豊田太郎さん、腰痛治療のスペシャリストで理学療法士の折笠佑太さん、柔道整復師でアスレチックトレーナーの関口徹さん、セーリング日本代表管理栄養士の渡辺千夏さん、選手のお母さんで看護師の松本佳代さん、東海大学硬式野球部の元マネージャーで星野リゾートで接遇を学んできた薮田敦子さんなど、スポーツ現場での経験豊富なスタッフが開業に際し集まった。

医院のスタッフは総勢8人だ(筆者撮影)
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