日本プロ野球(NPB)では複数の球団が「ボールパーク構想」と銘打って、新たな事業展開に乗り出している。2004年の「球界再編」を契機に、地域密着を目指したビジネスモデルが進化、観客動員数も急増した。各球団の新しい試みは、次のステップを志向しているように見える。
若年層の競技人口減など「野球離れ」が確実に進行する中で、プロ野球は次の時代にどんなビジネスモデルを構想しているのか、各球団の経営者やマーケティング担当者に聞く。
第1回は、セ・リーグ球団の横浜DeNAベイスターズ(以下ベイスターズ)を取り上げたい。
ベイスターズは、2016年に本拠地の横浜スタジアム(ハマスタ)への友好的TOBを完了し連結子会社としている。
そして12球団で最もキャパシティーが小さかった球場の改修、客席増築工事に着手した。「コミュニティボールパーク」化構想は、こうしたハード面の拡充に伴うものだが、キャパ拡大以上に新しい展開を志向しているように見える。
同球団のマーケティング部門を統括する執行役員事業本部 本部長兼ブランド統括本部 本部長の木村洋太氏に話を聞いた。
まずは「客席を埋める」ことから
「親会社DeNAが横浜ベイスターズの経営に参加したのは2012年シーズンからです。当時のハマスタは、夕方になってふらっと立ち寄っても余裕で観戦できるほどの観客動員でした。そこで私たちが最初に手がけたのは “客席を埋める”ことでした。
私自身も、子どもの頃から通っていましたが、子ども心に何となく湿った空気が漂っているように感じました。2012年に社員として戻ってきてからも、その印象は変わりませんでした。
そんな状態からマーケティングなどを通じて、球団、球場の空気を明るいものに変えることができたと思います。平均して1万5000人しか来なかった時代も、お客様は熱心に応援してくださいましたが、3万人近くの観客を動員すると、やはり熱気が違います。
DeNAが経営に参画したタイミングで、中畑清氏がベイスターズの監督になったことも大きいです。
チームを引っ張っていかれる中で、天性の明るさでチームカラーを変えていきました。“プロ野球は興行だ”ということをいちばん強くおっしゃった監督ですね。今のアレックス・ラミレス監督もそれを引き継いでいると思います」(木村氏)
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