「ただし、地盤沈下を起こさないよう、トップレベルのクオリティーが担保されないといけません。質が担保できれば、人口減少は最重要課題ではなくなるかもしれません。
子どもの頃から野球をやって甲子園に出て、プロに行ってというパターンで成り立ってきたことを考えると、競技人口の減少がレベルの低下につながる危惧もあります。だからこそわれわれとしても野球振興活動を行っています。神奈川県内で、未就学児、小学生への野球普及活動を行っていますが、人口が減ったとしても、野球遊びに親しむ子どもをつくらなければならないと思っています。それがミッションですね」(木村氏)
行政ともWIN-WINの関係に
ベイスターズが「コミュニティボールパーク」化構想を展開するうえでは行政との連携も重要だ。岡村信悟社長は、3月15日の囲み取材で、こう話している。
「ハマスタに新設された屋上からの風景は、これまでの横浜になかった風景です。開発が進む中で、みなとみらいの高層階からみる旧市街の風景はありましたが、横浜港が開港したときからある旧市街からみなとみらいを眺めるという意味は大きい。新たな創造だと思っています。
試合のときだけでなく、いろいろな形で市民・ファンの皆さまに訪れてもらえる球場にする。国内外の人々に訪れてもらえる場所をつくったという意味でも意義があります」(岡村氏)
木村氏はこれを受けてさらに言及する。
「横浜公園にたくさんお客様が来れば、横浜市にとっても経済活動が盛んになり、税収増につながるという共通のメリットがあります。
同時に、行政課題にベイスターズがアプローチしていきたい。数年前に神奈川県内の子どもたちにベイスターズのキャップを配りました。それは単純にファンになってくださいというだけでなくて、地域コミュニティーを活性化することにもつながります。
地域の野球教室やイベントを通して、市民の健康づくりに関わることができれば、行政的には保険料の軽減につながるし、ベイスターズにとっても顧客の拡大につながります」
横浜市も、スポーツ振興課を中心とした各部署がベイスターズとの連携に期待感を示している。
「毎年の保育園や小学校の訪問では、ボール遊びを通じて『打つ』『捕る』『投げる』といった体の動きを教えるなど、市内の多くの子どもたちに野球やスポーツをする楽しさを伝えていただいています。試合招待では、プロ野球選手を生で観戦できる機会を提供いただくなど、子どもたちに夢や目標を与える存在として、横浜市のスポーツ振興にご協力いただいています。
また、主催試合では魅力的なイベントを多く実施していただいており、横浜市民の連帯感の醸成や地域経済の活性化に大きく貢献してくださっています」と行政としての効果を話す。
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