「数字の見積もりが速い人」の秘密の計算術 知っておくと役立つ「フェルミ推定」の基本
<ステップ2>
面積当たりの電柱の数を推定します。面積あたりの電柱の数は、人口密集地の「都会」とその他の地域(エリア部)では異なるだろうと想像できます。そこで日本全体を「都市」と首都圏以外の「エリア」の2つのグループに分けることにします。
日本の都市部は、主に県庁所在地と大都市などのイメージでしょうか。そうすると、都会部とエリア部の比率は20:80程度だと推定できます。先ほど、日本全体の面積は40万km2と推定しましたので、それぞれ20%と80%を掛け算すると都市部の面積は40万km2×20%=8万km2、エリア部の面積は40万km2×80%=32万km2であると推定できます。
<ステップ3>
どれくらいの距離ごとに電柱があるのかを推定します。例えば都市部は50mごとに1本程度、エリア部は200mごとに1本程度でしょうか。これを前提に計算すると、都市部は1km当たり20本、エリア部は1km当たり5本の電柱があるということになります。つまり1km2当たり都市部は20本×20本=400本、エリア部は5本×5本=25本の電柱があると計算できます。
<ステップ4>
回答(日本の電柱の数)を推定します。ステップ2で都市部とエリア部の面積を推定し、それぞれ8万km2と32万km2と推定しました。ステップ3で都市部とエリア部の1km2あたりの電柱の本数をそれぞれ400本、25本と推定しました。
都市部の電柱の本数8万㎢×400本/km2=3200万本、エリア部の電柱の本数32万km2×25本/km2=800万本 と計算できます。合計すると約4000万本と日本全国の電柱の数が把握できます。
実際の国土交通省の調べでは、平成28年度の電柱本数は約3578万本とのこと。かなりの近似値を求められたのではないでしょうか。
重視されるのは「回答」ではなく「考え方」
ただ、最初に話したとおり、「フェルミ推定」は、単に回答を見つけるのではなくそこに至るまでの思考のプロセスが大切です。
就職試験時の質問では、答えが合っているかということよりも、学生たちがそういった考え方ができるかどうかを見ているのだと言えます。
また、このようなフェルミ推定をするうえで、数字の知識が多いほうが有利だということがわかるでしょう。こういった“数字のストックを増やす”ことも大切です。
日本は統計数値が豊富です。どのような数値がどこにあるのか知っている、あるいは、それらのおおよその数値を知っていると、フェルミ推定や仮説力の精度が高まります。仮説力の精度が高まると、施策の精度が高まります。すると、結果として儲けのセンスも高まります。
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