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「数字の見積もりが速い人」の秘密の計算術 知っておくと役立つ「フェルミ推定」の基本

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  • 中尾 隆一郎 中尾マネジメント研究所(NMI) 代表取締役社長、旅工房 取締役
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そこで当時の上司である子会社の社長に提案しました。提案内容は次のようなものでした。働いているアルバイトのスキルや経験、入社日や退職予定日をデータベースに登録しておき、これを全社で共有する。それぞれの部署で新たにアルバイトを募集する際には、このデータベースを確認して、そこでマッチングしない場合のみ、新規のアルバイト募集を行う。これによる採用コスト、教育コストが削減できる、というものでした。

実際、これで年間数百万円のコスト削減ができるとフェルミ推定できました。そこで私は自信満々に上司へ提案を行いました。

「問題解決した後」も想定に取り入れる

この提案に対する私の上司であった子会社の社長の回答は、次のようなものでした。

「いい提案をありがとう。確かにこの方法でこの問題は解決できる。実際、昨年のデータでいうと数百万円のコスト削減ができる。ただし実際は、作成するデータベースの維持・保守に想像以上にコストと労力がかかる。とくにアルバイトのデータ更新には少なくとも毎月1人分以上のコストが必要になる(とその場でフェルミ推定しました)。

これで年間数百万円はかかる。とくに働いているアルバイト社員の情報をデータ入力する部署と、そのデータにより採用コストを削減できる部署が異なるので、アルバイトの情報を入力するモチベーションも上がらない。結果、新たなコストが発生するので、今回見積もった経済的な成果のすべては得られない。

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今回のケースに限らず、問題を解決すると新たな問題が生まれることが大半。今回のケースではデータの維持保守に想像以上のコストがかかるという問題が起きる。だから、この問題は放置しておこう」

私の提案に対して、ものの数分でフェルミ推定して、「やらない」と回答したのです。「問題を解決すると新たな問題が発生する。その問題を解決するコストも含めて考えないといけない」というアドバイスとフェルミ推定のパワーをまざまざと感じた事例でした。

フェルミ推定は四則演算を活用して仕事のレベルアップを行う有効な手法の1つです。ぜひ、身につけて活用してください。

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