ソニーとMSがゲームで協業せざるをえない背景 元スクエニ社長が展望する5Gの新世代ゲーム

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家庭用ゲーム機「プレイステーション」を展開するソニーは5月17日、クラウドサービス「Azure」を持つマイクロソフトとの提携検討を発表した(写真:ソニー)

2014年にシンラを設立したのも、来るクラウドゲーム時代に向けた実験環境を作り、通信インフラの整備を促すためだった。今振り返っても、時代の先端を行っていたと思う。ただ結局、親会社であるスクエニとの方向性の違いがきっかけで、第三者からの資金調達のメドが立たなくなり、プロトタイプを出す前の2016年に解散することになった。

ちなみに、当時シンラがアメリカでの通信環境を整えるために交渉していたグーグルの社員は、3月に発表された「Stadia」の立ち上げメンバーの1人だ。

キュレーターが大事な存在になる

――「Stadia」を発表したグーグルは、世界20地域にクラウド拠点を持ち、自社のデータセンターとつながり遅延を抑える「エッジノート」と呼ばれるデータ処理施設は7500カ所以上を保有しています。巨大なインフラを持つIT企業は、今後のゲーム業界で優位に立つのでしょうか。

世界中の膨大なトラフィックをさばいているグーグルに、インフラ面での優位性があるのは確か。ただグーグルは今、既存の超人気家庭用ソフトを、クラウドゲーム向けに移植することに注力している。サービス開始当初は、一度ユーザーもゲームソフト会社も戸惑いを覚えることになるはずだ。

想像してみてほしい。専用コントローラーでダイナミックに遊んでいたシューティングゲームをスマホでやろうとしたら、指は画面にかぶさるし、敵は小さくて見えない。そこでまず、プレイするデバイスによってUI(ユーザーインターフェイス)が違うゲームが必要になってくる

――グーグルですら、クラウドゲーム参入のハードルは高い?

「クラウド1.0」の段階ではそうだ。ただ、クラウド専用に設計されたゲームソフトが出てくる「クラウド2.0」の世界になると状況は変わってくる。クラウド2.0では、1つのコンテンツに対し、ユーザーが多様な関わり方をするようになる。ゲーム実況やeスポーツに代表されるようにプレイヤーに加えそれを発信する人、編集する人、見て楽しむだけの人といったノンプレイヤーもゲームを楽しむことができる。クラウド2.0は、早ければ2020年にも実現するはずだ。

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