iPhoneも筒抜け?コネクテッド社会の闇 個人情報めぐるNSAとIT企業のせめぎ合い

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特に米国などでは、SMSの送受信に課金されるため、シームレスに課金を回避できる仕組みとして活用が進んでいる。レガシーな電話番号、SMSという仕組みを拡張する形でインターネット側のサービスへと呼び込むやり方は、とてもわかりやすい。

こうしたメディアやツールの拡張というアプローチは、より追究されていくべきだろう。例えば地図やクレジットカードといった生活必需品に、まだまだチャンスが眠っているはずだ。

よりコントロール可能にすることが重要

「納得できるテクノロジー」というのは、ユーザーが直感的に理解して使えるようになるという意味で重要なだけでなく、ユーザーが自分で管理可能である点でも重要だ。

例えば、電話番号であれば、誰かに教えたりインターネットに掲出すれば、知らない人からいたずら電話がかかってくる可能性がある。その番号の扱いをどうすべきかを考える事はさほど難しい事ではなく、いたずらが多い場合は番号を変えることで回避できる。

では現在のインターネットやモバイルで使われているサービス、アプリが、電話番号ほど簡単に理解し管理できる状態になっているだろうか。アップルはなるべく煩わしさを表に出さないよう、クラウドサービスなどをOSと統合して「ただ動作している」という状態を作り出している。

今まではそれが使いやすさや親しみやすさだったが、今後は何が起きているかをわかりやすく伝えることも、要件に含まれてくるだろう。企業のみの努力だけでなく、ユーザー側の学びも求められるようになっていく。

コネクテッド社会はつながっているすべての人の歩み寄りが求められる姿ではないだろうか。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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