iPhoneも筒抜け?コネクテッド社会の闇 個人情報めぐるNSAとIT企業のせめぎ合い

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NSAに協力させられる米国企業

フェイスブック、グーグル、アップル、マイクロソフトなどのテクノロジー企業が、NSAの活動に協力させられていたことは、スノーデン氏の暴露以前から報じられてきた。それだけでなく、米国最大の携帯電話会社ベライゾンワイヤレスなども、同様に協力を求められてきた。これだけの企業の情報を活用すれば、誰が、どこから、どのような情報を、いつ送信したかが連続的に把握できる。

インターネットやモバイルの技術、サービスが生活の中で当たり前となった今日、犯罪捜査やテロの未然察知などのためにインターネットを流れる情報の解析が有効なことは理解できる。しかし、NSAが誰のどんな情報を活用しているのか、我々は知るよしもない。米国で暮らしている人々だけでなく、インターネットサービスを利用するほぼすべての人々の情報が、傍受されうるということだ。

上に挙げた企業は、NSAに対して、情報収集のルール化や透明性の確保を求めている。しかしこれまでにNSAの活動への疑念を解消するような答えは聞かれていない。2014年も、アップルをはじめとする企業は引き続き、NSAに対して目を光らせながら、顧客の情報を最大限に守る努力を示していく必要がありそうだ。

コネクテッド社会と、つながり疲れる個人

もちろん、多くの一般的なユーザーにとっては、日常の中であまり大きな脅威だと感じる人はいないかも知れない。しかしパスワード流出やデータの漏洩など、情報が危険な状態で扱われている場面を何度も目にしてきた。

例えばアドビのメールアドレス・パスワード・クレジットカードの情報流出は290万件にも上るが、実際に危険にさらされていたのは3800万件ともいわれている。また写真が保存されず消えることから気軽なコミュニケーション手段として人気を博しているスナップチャットも、年明け早々に460万件のユーザー名と電話番号の流出が報じられたばかりだ。

これらの問題はサービスを提供している企業がハッキング被害に遭ったり、ユーザーがあまりに安易なパスワード(一番人気は「123456」)を利用していることなど、NSAとは無関係だ。しかし、NSAの傍受の問題とセキュリティやプライバシー上の不安が押し寄せてくると、一般のユーザーも警戒するようになってくる。

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