「料理の段取り」がプログラミングに役立つ理由 「怠け者の欲求」がアルゴリズムを発展させた
次に、アルゴリズムと判断基準についてお話します。 先のコストコでの買い物の例で、「自分はもっとゆっくり、いろいろなものを見て楽しみながら買い物したい派だ」と思った方も多いはず。先ほどは「早さ・効率の良さ」を基準にアルゴリズムを考えたわけですが、「楽しさ」や「多くの商品を見る」という別の基準で考えてもいいでしょう。他にも、
・新しいことを体験できる(自分のスキルアップになる)
・親切な店員さんがいる
など、さまざまな基準が考えられます。 それらの中から特定の基準を選んで、処理の手順(アルゴリズム)を作っていくことができるのです。
自分の中に何らかの基準を持ってロジカルな判断をしている人は、プログラミング的思考を持った、一本芯が通っている大人、と見られるように思います。
日常生活とITの世界のアルゴリズムを行き来する
アルゴリズムというと難しく感じますが(実際、アルゴリズムについて調べると、ソートや探索など、聞き慣れない言葉のオンパレードです)、今まで見てきたように、日常生活やビジネス上の判断基準をいかに作るか、ということと同じです。
ビジネスの世界でアルゴリズムに通じるということは、さまざまなジャッジをする基準を持っている、ということになります。たとえば、投資会社が投資先からの撤退基準をどのように作るか、を考えるとよいでしょう。また、基準を持っている経営者のほうが、よりドライで効果的に意志決定ができます。
コンピューターの世界のアルゴリズムの基準の多くは、実行速度やメモリの消費容量ですが、日常生活の基準は実に多様です。
日常生活のアルゴリズムとコンピューターの世界のアルゴリズムを相互に行き来して、お互いのアルゴリズムに落とし込むことができるようになることが重要です。処理の基準(アルゴリズム)がしっかりあるものは自動化できるので、あなたは、それ以外の「人間にしかできない仕事」に集中すべきです。
これからの時代、プログラミング自体はできなくても、プログラミングの考え方を学ぶことで、IT社会に参加したり、価値を提供することができるようになります。これがプログラミングやアルゴリズムを学ぶ目的の1つでもあり、皆さんの貴重な過去のスキルや経験を、一般化した形に変えて社会に提供し続けていくための方法ではないでしょうか。
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