混沌たる世界を「アニメ」はどう変えられるのか トンコハウスの堤監督とコンドウ監督に聞く

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──これまでも日本のアニメスタジオやアニメーターと仕事をしてきていると思いますが、彼らと仕事するのはどうですか。

コンドウ:日本には、日本独自のストーリーやスタイル、クラフト技術といった点で非常に豊かなアニメ文化があると思います。日本ではできても、それ以外の国ではできないこともたくさんある。一方、アメリカにはピクサーやディズニー、ブルースカイ・スタジオと世界で日本のスタジオと双璧を成すようなアニメスタジオがあります。

これまでそれぞれ多くの才能を抱えている2つの国のスタジオが、そこまでコラボレーションしてこなかった中で、今回トンコハウスが双方の「声」を聞きながら作品を作っているというのは、とてもエキサイティングだと思います。

最も大事なのは会社が大きくなることではない

──これからはどんなスタジオを目指していきたいですか。

コンドウ:何事にも真摯で誠実なスタジオでしょうか。誠実であることは、僕たちにとってとても大事なことです。自分たちに素直であると同時に、ストーリー自体が僕らの視点を反映していなければなりません。

作品作りにおける技術は引き続き向上させたいと思いますが、映像だけにこだわる必要はなくて、デザインやストーリー作り、空間作りに携わったり、ワークショップもやっていきたいと思います。自分たちの好奇心を通じて、見る人にインスピレーションを与えられるようになりたい。

:今回の映画祭は実験だと話しましたが、これがより大きなコミュニティーにインスピレーションを与える機会になればいいと思っています。会社が単体でできることより、コミュニティーでできることのほうがずっと大きいですから。コミュニティーを通じて何ができるかという明確なものはまだありませんが、すべてをトンコハウスでやる必要はないし、自分たちだけでできることより僕たちの夢はずっと大きい。

僕たちは、人々にインスピレーションを与え、これまでにないほどの好奇心を持ってもらいたいと考えていますが、それには会社だけでできることは限られています。僕らにとって最も大事なのは、会社が大きくなることじゃない。今回の映画祭はその第一歩なのです。トンコハウスだけではなく、互いにインスピレーションを与えられる、ワクワクするようなパートナーと仕事をしていきながら、ともにコミュニティーを作っていけたらうれしいですね。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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