混沌たる世界を「アニメ」はどう変えられるのか トンコハウスの堤監督とコンドウ監督に聞く
──これまでも日本のアニメスタジオやアニメーターと仕事をしてきていると思いますが、彼らと仕事するのはどうですか。
コンドウ:日本には、日本独自のストーリーやスタイル、クラフト技術といった点で非常に豊かなアニメ文化があると思います。日本ではできても、それ以外の国ではできないこともたくさんある。一方、アメリカにはピクサーやディズニー、ブルースカイ・スタジオと世界で日本のスタジオと双璧を成すようなアニメスタジオがあります。
これまでそれぞれ多くの才能を抱えている2つの国のスタジオが、そこまでコラボレーションしてこなかった中で、今回トンコハウスが双方の「声」を聞きながら作品を作っているというのは、とてもエキサイティングだと思います。
最も大事なのは会社が大きくなることではない
──これからはどんなスタジオを目指していきたいですか。
コンドウ:何事にも真摯で誠実なスタジオでしょうか。誠実であることは、僕たちにとってとても大事なことです。自分たちに素直であると同時に、ストーリー自体が僕らの視点を反映していなければなりません。
作品作りにおける技術は引き続き向上させたいと思いますが、映像だけにこだわる必要はなくて、デザインやストーリー作り、空間作りに携わったり、ワークショップもやっていきたいと思います。自分たちの好奇心を通じて、見る人にインスピレーションを与えられるようになりたい。
堤:今回の映画祭は実験だと話しましたが、これがより大きなコミュニティーにインスピレーションを与える機会になればいいと思っています。会社が単体でできることより、コミュニティーでできることのほうがずっと大きいですから。コミュニティーを通じて何ができるかという明確なものはまだありませんが、すべてをトンコハウスでやる必要はないし、自分たちだけでできることより僕たちの夢はずっと大きい。
僕たちは、人々にインスピレーションを与え、これまでにないほどの好奇心を持ってもらいたいと考えていますが、それには会社だけでできることは限られています。僕らにとって最も大事なのは、会社が大きくなることじゃない。今回の映画祭はその第一歩なのです。トンコハウスだけではなく、互いにインスピレーションを与えられる、ワクワクするようなパートナーと仕事をしていきながら、ともにコミュニティーを作っていけたらうれしいですね。
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