BNPパリバのスペランザ氏「世界景気は減速」 「不透明感の長期化」で投資が抑制されている

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アメリカの株価は高止まりしていたが、トランプ大統領の発言で米中貿易摩擦の激化を懸念(写真:ロイター/Brendan McDermid)
世界景気は曲がり角に来ている。中国の景気対策やFRB(米国連邦準備制度理事会)のハト派化で景気後退は免れるのか。株価は米中貿易協議をめぐる動きに一喜一憂する展開だが、景気についてはやや楽観しているのが気になるところだ。BNPパリバのチーフ・グローバル・エコノミストであるルイジ・スペランザ氏に話を聞いた。

――アメリカの景気の先行きをどう見ていますか。

トランプ政権の財政拡大策の効果が剥落してくるうえ、FRB(米国連邦準備制度理事会)のハト派化でも、まだ引き締め効果があり、景気は減速してくる。景気が後退することはないが、ピークアウトしたことは確かだ。賃金の上昇と関税等による投入コストの上昇による影響も懸念される。

アメリカの実質GDP(国内総生産)成長率は2018年後半には3%近かったが、今年は潜在成長率である2%前半まで低下してくるので、世界経済へのインパクトも相応に出てくる。米中貿易交渉と中国経済をめぐる不透明感から設備投資が減退しており、今後、経済指標にも減速の影響が表れてくるだろう。

――リスクとして懸念される点は?

企業部門の債務が膨らんでいることだ。若干レバレッジが高まってきている。ただ、現在は低インフレが続くと見ており、FRBにはECB(欧州中央銀行)や日本銀行と異なり、まだ政策余地があるので、デフォルトリスクが拡大するなどの大きな問題にはならないと思っている。

「インフレ目標見直し」は、期待を高めるため

――FRBは平均インフレ率目標といった考え方も議論するとしているが、効果はあるか。

非常に難しいと思う。例えば、2%という目標があって目標に及ばなかった場合にオーバーシュートさせるというのはわかる。だが、そうなって、オーバーシュートが続いた場合に、これを今度はアンダーシュートさせる必要が出てくる。しかし、インフレ率を下回らせる、景気後退をさせる政策を取るということを説明しなければならず、これはハードルが高い。明確なアンカーがないので、そもそも説明が難しい。

ただ、同じ時期にFRBとECB(欧州中央銀行)から同じようなメッセージが出てきたことが重要だ。インフレ目標は上下に対称的である、つまりある程度のオーバーシュートを許容するということで、インフレ期待を高める狙いがある。

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