BNPパリバのスペランザ氏「世界景気は減速」

「不透明感の長期化」で投資が抑制されている

Luigi Speranza/BNPパリバのチーフ・グローバル・エコノミスト、ロンドン駐在。専門は財政政策、物価など。フランクフルトのECB幹部やユーロ圏の中央銀行幹部に人脈をもつ。1996年から金融市場エコノミストとして活躍、Banca IMI San Paoloでユーロ圏担当エコノミストを務めた。ロンドンビジネススクール金融修士号取得。

――ユーロ圏の景気についてはリスクが高いとみているとのことですね。

ユーロ圏の景気は全般に低迷している。貯蓄超過の経済なので外需への依存度が高いため、外的ショックに脆弱だ。中国の減速や米国との貿易摩擦、さらにブレグジット、ロシアへの制裁などの影響を受けている。けん引してきたドイツを筆頭に輸出は大きく減っており、日本向け以外は減速ないし減少している。

また輸出だけではなくユーロ圏内の貿易、つまり、内需も振るわない。2015年から16年にかけての景気減速局面では内需がしっかりしていたのに比べると、今回はかなり厳しい状況にある。朗報は中国政府の景気対策の効果が出つつあることだが、景気が転換して上向くとは見ていない。景気後退にまで陥るというのはメインシナリオではないが、リスクは残る。2019年の実質GDP成長率は潜在成長率まで戻らず、1%そこそこではないか。

やはり、不透明感の高まりから、雇用や設備投資意欲も抑えられてきており、貸出の伸びも鈍化している。ユーロ圏のコアインフレ率は過去2年間1%前後で安定しているが、ショックが生じた場合、マイナスとなる可能性がある。ユーロ圏も貯蓄過剰であって「日本化」が話題となっている。賃金が上昇するところは日本とは異なるが、注意すべき局面だ。

ユーロ圏には複数の下振れリスク

――ユーロ圏が景気後退に陥ることはないのか。

ユーロ圏の金融政策は緩和的であり、財政政策も債務危機以降で初めて拡大基調になっている。先述のように中国の景気てこ入れの効果も出てくる。ただ、複数のリスクが存在する。第1に米中の貿易協議がどう着地するのか、第2にEUと米国との通商交渉が長引き、より困難なものになること、第3に米国の景気が想定以上に減速すること、第4にノーディール(合意なき)ブレグジットに陥ることなどだ。

これらのリスクが現実のものになることはないとみているが、顕現化すると1%を切る成長率になるだろう。貿易交渉の結果は予測ができず、問題点はまさに「予測ができない」ことにある。交渉が長引けば長引くほど不透明感が続いて、設備投資が抑制される。

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