長いGW10連休でたまる「危険ストレス」に要注意 連休中に「心の不調」を起こさないために

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私たちは、基本的に関係性の近い相手ほど感情を揺さぶられます。自分に近しい人に対しては、本来「理解してほしい」「認めてほしい」という感情が芽生えるのは当然のことで、その思いを否定されたり、反発されることに対して、大きな影響を受けます。相手に対する思いが強いがゆえに起こることでもあるのですが、必要以上の衝突は避けたいところ。

長い休みだからといって、「家族と過ごさなければならない」ことも「帰省しなければならない」こともありません。苦痛と感じているのなら、予定切り上げやキャンセルも選択肢の中に入れましょう。

原因3:風呂敷残業

この言葉を知らない若い方もいると思いますが、要は、出勤はしないけれども、家で仕事をすることです。連休前に「連休中に持ち帰る仕事をまとめている」といった話もあちこちから聞きました。表向きは休みでも、まったく休めないどころか、連休明けに備えて業務をこなさなければならない方も多くいるのです。

私がカウンセリングをしていて感じることの1つに、心の不調を訴える方に多いのが「切り替えが苦手」という特徴です。つねに仕事のことを考え、休み中も仕事のことが頭から離れない状況はやはり問題で、どこかで強制リセットをかける必要があります。

思い切って「環境」を変える

強制的に休むとかえって仕事のことが気になって……とおっしゃる方もいると思いますが、気持ちの切り替えが是が非でも必要です。そのためには、思い切って環境を変えることも大切で、「いつも行かない場所、もしくは初めての場所に足を運んでみる」「PCやタブレットなどを起動しない日を設ける」「アラームをかけずに休む」「最近、疎遠になってしまった人に連絡を取ってみる」など、意識的に行動してみてください。そのあとに、また仕事に戻り、たとえ一時的なものであっても「リセットすること」は大切です。

原因4:そもそも休めない

サービス業など世間が休みのときほど忙しい業種や、急患対応の医療機関など、人が休んでいるのに休めないどころか、かえって忙しいという方も少なくないと思います。普段よりも過剰労働となり、心身への負担が増えます。この期間だけは、なんとか乗り切らなければという意識が強ければ強いほど負荷をかけがちです。

今年はその期間が長いために例年よりも注意が必要です。崩れがちな生活リズムを整えるためにも無理をせず、適宜息抜きを心がけましょう。隙間時間を利用した手軽な気分転換がお勧めです。「ランチタイムにちょっとぜいたくをする」「テイクアウトのコーヒーをランクアップさせる」「ご褒美スイーツやお酒を買って帰る」「ゆっくり湯船につかる」など、身近でなるべく時間をかけずに手軽にできることを積極的に取り入れましょう。忙しすぎると徐々にそんな心の余裕もなくなると思いますので、GW前半の今からぜひ心がけていただきたいと思います。

いずれにせよ「いつもと違う」という状況は、たとえ楽しいことであったとしても心身に負担を与えます。無理をせずに、意識的に気分転換を取り入れながら、ゆったりとした気持ちを持てるよう心掛けてください。

平成から令和に移りゆく時期に、気持ちもよりよく切り替えられますように。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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