氷河期世代の転職は「今」が絶好のチャンスだ 正社員の有効求人倍率は1倍を超えている

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就活「氷河期」でつらい体験をした団塊ジュニア世代にとって、転職市場活況の今が人生最後のビッグチャンスになるかもしれません(写真:xiangtao/PIXTA)

筆者は昭和47(1972)年生まれで、いわゆる団塊ジュニア世代の先頭です。そして就職氷河期の先頭を走らされた世代でもあります。

景気が悪化していく当時の様子を今でもよく記憶しています。大学1年生のとき、4年生の先輩はNTTなどの上場企業にラクラクと就職していました。そんな様子をみて「就活ってそんなものなのか、簡単なものだなあ」と思っていたら、1つ上の先輩から雲行きが怪しくなり、私の世代からは完全に土砂降りとなりました。

その後の内定率は厳しい状態が続きました。「氷河期」と表現したのはまさに当たっていて、高卒者も大卒者も、就職に苦労する人があふれました。

転職市場も売り手市場になっている

今は時代が様変わりしています。景気の回復と企業の人材不足が顕在化したことなどにより、学生のほうが強気に出られるようになりました。また、若年層は転職に対する抵抗感がなくなってきているといわれ、積極的にステップアップしているようです。

しかし、就活に苦労して中小企業しかチャンスがなかったり、非正規で働くしかなかったりした団塊ジュニア世代は、今もそのままのオフィスで働き続けている人も多いようです。

内定がなかなか出ないという、かつてのひどい就活体験を覚えている人の多くは、なかなか転職活動をしません。あるいは転職活動をしたのが5~6年前くらいでやはりひどい目にあった人もいて、これらの人もまた転職活動に及び腰のようです。

確かに不採用を通知する「お祈りメール」を山ほどもらうのはメンタル的にもつらいことですし、ゴールの見えないトンネル掘りをしている気分にはもうなりたくない、という気持ちもよくわかります。

しかし、就活の環境が改善されたのは新卒採用だけではありません。正社員の転職市場も今、活況を呈しているのです。

厚生労働省が発表する有効求人倍率は近年大きく回復しました。有効求人倍率といえば正社員も非正規も一緒になっていたので、「求人が増えたといってもどうせ非正規の話でしょう」と思っているかもしれません。しかし、正社員の有効求人倍率のみを抽出した統計も実はあります。

なんと、正社員の有効求人倍率1倍を超えているのが現状です。執筆時点での最新データ、2019年1月の数字では1.14倍となっています。

次ページ正社員の有効求人倍率はこの10年で回復
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