日本人の私がインドのベンチャーを育てる理由 現地で11社に投資、2号ファンドも立ち上げ

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――そうは言っても、インド投資には難しさはあるのではないですか。

競争は激しい。VCは数が多く、キャピタリストもみな優秀。アメリカで経験を積んで帰ってきている人も多い。10年間事業をまわしていたような人がキャピタリストになったりしている。その中で勝っていかないといけない。

投資先企業も、よいと思って投資したスタートアップ企業と、まったく同じことをやっている会社が5、6社存在する。こんなことは日本ではなかなか起こりにくい。そういう中で、投資先を勝たせていく方法などがちゃんとないと、僕らも生き残れない。

以前、アクセルパートナーの方と会う機会があったが、「君たち、何しに来たの?」「君らのUSP(ユニーク・セリング・ポイント)は何?」という感じ。お金がいっぱいあっても、インドでは実績もない。信用もされていない。

日本とインドの架け橋になりたい

――最後に、インドから学んだ点、学ぶべき点について教えてください。モディ首相が就任し、「親スタートアップ」的な政策も進めています。

成長させていくことへのコミットメントはすごく大胆。アプローチも進んでいる。ちまちまやっていると勝てない市場でもあるので、お金をドンと調達し、でかく勝負する。そういうことは日本の起業家にはできない。

モディ首相が就任してスタートアップ・インディア構想を出した後、会社の登記は明らかにやりやすくなった。政府系のVCもでき、資金の供給源も政府がちゃんとサポートしている。モディ首相が来日したときに、外国のベンチャーキャピタリストの話を聞く時間をわざわざとったくらいだ。

インドは今後、大国になっていく過程で、日本とライバル関係になることも出てくるだろうし、地政学的意味も含めて、インドとどのようにうまく付き合っていくかは重要になる。僕らも日本とインドの架け橋になって、貢献していきたい。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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