日本人の私がインドのベンチャーを育てる理由 現地で11社に投資、2号ファンドも立ち上げ
日本の投資家はほとんどいなかった
――どういう経緯で、村上さんはインドで起業するに至ったのですか。
アメリカの大学を卒業し、新卒で野村證券グループに入社した。入社から一貫して日本のスタートアップ企業を担当してきた。その後、野村のニューヨーク拠点に赴任し、アメリカでも一貫してインターネット企業を担当した。
しかし、アメリカでの私のミッションはクロスボーダーのM&Aだった。投資銀行業務の本丸で醍醐味はあるが、僕自身はスタートアップ企業をアーリーステージから育てるのがすごく楽しかった。一念発起して辞め、大学時代の同級生と一緒にやろうということで、とりあえず2014年にインドに行った。
当時から僕が思っていたのは、インドには日本の投資家がほとんどいなかったこと。日系で活動していたのは(佐藤輝英氏率いる投資会社の)ビーネクストくらいで、一方でアメリカ系のベンチャーキャピタル(VC)はインド向けファンドをどんどん作り、投資活動をしていた。(この差は)何でだろうと思っていた。
――日本はいま、「ベンチャーブーム」と言われます。
日本はものすごくキャッシュがあって、ベンチャーブームっぽくなっているが、投資対象になる、すごくいい会社がたくさんあるかというと、そうではない。だから、日本の(あり余る)お金をインドに持ってきて、投資するのはもっとあっていいと思った。
そんなときにインキュベイトファンドから声がかかった。たしか、五反田のプロントでビールを飲みながら30分話して(笑)、その場でソフトコミットメント的なものをいただいた。2016年9月にファンドとして公式に始動し、その年の12月に最初の投資を行った。今まで11社に投資をしている。
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