日本人の私がインドのベンチャーを育てる理由 現地で11社に投資、2号ファンドも立ち上げ
――これまでの投資先にはどんな特徴があるのですか。
近く立ち上げる2号ファンドもそうだが、特定の業種や業態に特化することはしていない。インドのマクロ経済環境が伸びている中で、必ずどこかに非効率な部分、ギャップがある。そこで勝負している、すごく優秀な起業家に投資することを徹底している。
例えば、日本のコンビニ店舗数は5万店を超えているが、インドには小売店や食料品店が900万店舗くらい存在する。東南アジアのようにコンビニが進出しているわけではなく、いまだに小売取引の96%が小規模のパパママショップ経由で行われている。しかも、この比率はそんなに変化していない。
サプライチェーンはバラバラで、個人事業主が経営している。仕入れもアナログで紙という状態で、在庫もいっぱい抱えないといけない。こうした小売店の課題を解決する、オンライン仕入れのプラットフォームをつくっている会社が最初の投資案件のShopKirana。これが伸びている。
ゲーム分野はいずれ一気に立ち上がる
――経営者はどんな人物なのですか。
創業者はアメリカのカーネギーメロン大学を出て、P&Gで紙おむつの材料を担当していた人。まだ20代でめちゃくちゃ優秀。課題感も明確で、どう考えても「こいつらができないなら、できないだろうな」という連中だ。
直近の投資先だと、eスポーツやゲーミングの分野がある。インドではゲーム産業がまだそれほど大きく立ち上がっていないが、マクロ的にみると、2万円くらいのスマホが大量にバラまかれている。それに、世界一安いデータ通信がかけ合わさると、若者たちはデータに常時接続してコンテンツ消費する、という行動をとる。ゲームやオンラインのモバイルコンテンツが一気に立ち上がるだろう。今が仕込みどきだ。
――今のところ、どんな投資スタイルや原則をもって、投資を進めているのでしょう。
インキュベイトファンドの投資スタイルを基本的に踏襲している。シードで、原則リードポジション(投資計画において最大の資金を投資し、中心的な役割を果たす地位)で入る。投資をしたら、毎週ファウンダー(創業者)と会う。そして、かなりハンズオン(投資先に直接関与する)。状況によっては社外取締役のポジションを要求する。経営にある程度コミットして、(投資先と)一緒に事業をつくっていく。しかも、インドでは意思決定権者(である村上氏)が常駐している。
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