日本人の私がインドのベンチャーを育てる理由

現地で11社に投資、2号ファンドも立ち上げ

――これまでの投資先にはどんな特徴があるのですか。

近く立ち上げる2号ファンドもそうだが、特定の業種や業態に特化することはしていない。インドのマクロ経済環境が伸びている中で、必ずどこかに非効率な部分、ギャップがある。そこで勝負している、すごく優秀な起業家に投資することを徹底している。

むらかみ なお/野村證券グループの東京とニューヨーク拠点で一貫してIT・インターネット領域のスタートアップを担当。多くの企業をIPOへと導く。2014年にインドに移り、現地でスタートアップ立ち上げを経験。2016年にIncubate Fund Indiaを設立し、ジェネラルパートナー就任。妻と1歳の娘とインド在住。University of Illinois at Urbana-Champaign政治学専攻、歴史学副専攻卒(撮影:今井康一)

例えば、日本のコンビニ店舗数は5万店を超えているが、インドには小売店や食料品店が900万店舗くらい存在する。東南アジアのようにコンビニが進出しているわけではなく、いまだに小売取引の96%が小規模のパパママショップ経由で行われている。しかも、この比率はそんなに変化していない。

サプライチェーンはバラバラで、個人事業主が経営している。仕入れもアナログで紙という状態で、在庫もいっぱい抱えないといけない。こうした小売店の課題を解決する、オンライン仕入れのプラットフォームをつくっている会社が最初の投資案件のShopKirana。これが伸びている。

ゲーム分野はいずれ一気に立ち上がる

――経営者はどんな人物なのですか。

創業者はアメリカのカーネギーメロン大学を出て、P&Gで紙おむつの材料を担当していた人。まだ20代でめちゃくちゃ優秀。課題感も明確で、どう考えても「こいつらができないなら、できないだろうな」という連中だ。

直近の投資先だと、eスポーツやゲーミングの分野がある。インドではゲーム産業がまだそれほど大きく立ち上がっていないが、マクロ的にみると、2万円くらいのスマホが大量にバラまかれている。それに、世界一安いデータ通信がかけ合わさると、若者たちはデータに常時接続してコンテンツ消費する、という行動をとる。ゲームやオンラインのモバイルコンテンツが一気に立ち上がるだろう。今が仕込みどきだ。

――今のところ、どんな投資スタイルや原則をもって、投資を進めているのでしょう。

インキュベイトファンドの投資スタイルを基本的に踏襲している。シードで、原則リードポジション(投資計画において最大の資金を投資し、中心的な役割を果たす地位)で入る。投資をしたら、毎週ファウンダー(創業者)と会う。そして、かなりハンズオン(投資先に直接関与する)。状況によっては社外取締役のポジションを要求する。経営にある程度コミットして、(投資先と)一緒に事業をつくっていく。しかも、インドでは意思決定権者(である村上氏)が常駐している。

次ページインドの最新のVC事情は?
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 岐路に立つ日本の財政
  • CSR企業総覧
トレンドライブラリーAD
人気の動画
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
ウーバーイーツ配達員の過酷
ウーバーイーツ配達員の過酷
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
飲食業界、失敗する店と成功する店の決定的な差
飲食業界、失敗する店と成功する店の決定的な差
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
統合から20年どこでつまずい<br>たのか みずほ 解けない呪縛

みずほ銀行が相次ぐシステム障害で窮地に陥っています。その根底には、3行統合から今に至るまで解決できていない呪縛と宿痾が。本特集ではみずほが抱える問題点をガバナンス面や営業面などから総ざらい。みずほは立ち直ることができるのでしょうか。

東洋経済education×ICT