知らないとヤバい!大学入試の「英作文」事情 ひたすら難化、そして問題も激変している
こうした言説は間違ってはいないのですが、ここでは最短距離で英作文をマスターするのに必要な考え方と学習法を紹介しましょう。
自由英作文では「言い換え力」が必要
英作文は、日本語を一語一句英語に直すことではなく、伝えたい内容(=メッセージ)を日本語から英語に変換する作業です。このため、日本語のメッセージを、自分の手持ちの英語の知識で表現していくことになります。図式化すると次のようになります。
X ――(f:メッセージ変換)―→ Y
Y:学習者の英語知識のフィールド*Xほど大きくない
このような英作文の構造をふまえて、英作文の学習で何が一番大切かについて考えていきましょう。
日本語で発想した伝えたい内容を手持ちの英語の知識でなんとか表現していく力が英作文では重要です。この力を私は「言い換え力」と名付けています。「言い換え力」とは、日本語で書いてある、あるいは思い浮かべた伝えたい内容(=メッセージ)を、何とか自分の手持ちの英語で工夫して表現する力や、それに必要な着眼点のことです。上の図では、XをYに変換するfを増やしていくことに当たります。
具体例で見ていきましょう。次の問題を見てください。
「教育の目的は、試験に合格することではない。」
受験生がこの問題を解くと、多くの生徒は、「教育の目的」を英文の主語(S)にして次のような英文を書きます。
教育の目的 試験に合格すること
もちろん、これでもいいのですが、少し直訳的ですね。実はこの問題は、educationを主語にして、次のようによりシンプルに英作文することもできます。
これまでの指導で、日本語母語話者である受験生が英文を書くとき、主語(S)を人にすると書きやすくなるということが経験上わかっているので、Sをyouにして、
と書くこともできます。これだと受験生も発想がしやすいと思います。ちなみにSでyou(あなたがた)と2人称を使うのは、この日本語の文が誰にでも当てはまる「一般論」だからです。we(わたしたち)を使うとどうしても、they(彼ら)という対立軸ができてしまうからです。
このように、英作文の学習において大切なことは、日本語で表現されたメッセージの大筋を自分の手持ちの英語の知識で何とか表現し、1つの日本語に対してさまざまな形で英語に直していく「言い換え力」を鍛えていくことなのです。
語学の学習なので、英語の例文やフレーズ、単語を増やしていくことはもちろん重要です。しかし、図の通り、学習者の英語知識のフィールドYをどんどん広げていっても、日本語知識のフィールドであるXとYをつなげるメッセージ変換fを増やしていかない限り、英作文力はアップしないのです。
このように、英語だけでなく他教科の学習にも追われる受験生は、まず、「言い換え力」を高めつつ、英語の知識を増やしていくというのが効率的な英作文の学習法となるでしょう。ぜひ、練習を積んでこの「言い換え力」を鍛えてください。
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