都立高にも個別指導塾、まずは中堅2校に導入へ

大学進学実績の向上狙いだが、背景に少子化

スクールTOMASが導入された私立高校では、図書室に自習室が併設された(撮影:尾形文繁)

ついに都立高校の中にも個別指導塾がやってくる――。

学校内個別指導塾(「中堅高校が『学校内個別指導塾』を導入するわけ」参照)を展開するリソー教育の子会社「スクールTOMAS」社が、今度は東京都教育委員会と東京都の新事業「進学アシスト校」事業の業務を受託する。

進学アシスト校事業とは、放課後や土曜日などに塾講師らが受験指導を行う事業だ。都は2019年度からスタートさせる計画で、いわゆる中堅の都立高2校を選び、国語、数学、英語の指導を始める。

目的は中堅高校の大学進学実績の向上

目的はずばり、大学以外に専門学校へ進学したり、就職もする「進路多様校」における大学進学実績の向上だ。都教育庁指導部の鈴木宏治・主任指導主事は「中堅校では指導の主な対象が、成績上位層より下の層になりがちで、学習意欲のある上位層への指導が手薄になるきらいがある。そうした生徒を外部の力を借りながらアシストして、より上の大学への進学を目指してもらう」と狙いを説明する。

中堅校で成績が上位の生徒は、私立大学の指定校推薦制度を利用して進学するケースも多い。もし学校側がこうした生徒をサポートして学習を続ければ、一般入試でワンランク上の大学に挑戦し、合格を勝ち取る可能性も高くなる。

都が危機感を抱いているのはやはり少子化による生徒数減少だ。リーマンショックで公立校への需要は全国的に高まったが、都立高の将来は必ずしも楽観できない。2018年の入試(2018年2月)では、志望者が前年度に比べ約3000人減り、一部の学校では定員割れが生じた。第2次募集でも定員割れした全日制31校で433人の第3次募集を実施したが、これほどの規模での募集は初めて。2019年(2019年2月)も流れは変わらず、学校数こそ20校に減ったが、418人の第3次募集を実施している。

公立高校は2010年度から授業料が無償化されているが、だからといって、都立高を無条件に選んでもらえるわけではないのだ。私立高校の授業料一部無償化が2020年度から始まれば、都立高の競争条件は悪化する。差別化できるものがなければ淘汰される。生き残るには、進学実績で訴求していくのが近道だ。

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