「できない1%の人」を捨てる組織が弱いワケ 出口治明氏と繁盛店の店主が語る「チーム論」

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出口:「一人」を超えていく方法、つまり人をどのように巻き込んでいくかについてお聞かせください。

せかい:未来食堂のように、誰でもすぐにゆるいつながりによって、「一人」を超えていく方法には、2通りあります。自分の元にメンバーを集め「縦の関係」を作るのか、すでにある「横の関係」から力を借りるのか。

リーダーシップには縦だけでなく横の関係もある

出口:リーダーシップというと、リーダーとフォロワーという「縦の関係」だけのように思われがちですが、いろいろなリーダーシップの形がある。フラットな「横の関係」において協力してもらうにも、リーダーシップって必要になりますからね。縦横のリーダーシップがすべて書かれていますと、この本のことをまとめていいですか。

『誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか ゆるいつながりで最強のチームをつくる』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

せかい:人を巻き込むためには、その人の欲やアイデンティティーを見る必要があります。

出口:なるほど、先ほどもちょっと述べましたが、せかいさんは、「人と仲良くする必要はない」とか「ときには距離をとることが大事だ」とか「人は仕組みで気持ちよくなる」と言い切っていて、人間に対する甘い幻想がどこにもない。リアルに人間を洞察したうえで、腹落ちするまで考え抜いて、自分の考えを組み立てているから説得力があるんですよね。

先程も申し上げたように、マネジメントとは仕組みを作り、仕掛けをつくって、人の意識が変わらざるをえないようにすることです。そのためには欲とか自尊心とか、快楽とか、人間の本質に正面から向き合わないといけない。

そういう意味で、せかいさんの本は、とくにビジネスパーソンに読んでほしい。あるいは人事担当の人とか、人事部長とか。そして根拠なき精神論を深く反省して欲しいです(笑)。

出口 治明 立命館アジア太平洋大学(APU)学長

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でぐち はるあき / Haruaki Deguchi

1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒業後、日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2005年に同社を退職。2008年にライフネット生命を開業。2017年に代表取締役会長を退任後、2018年1月より現職。『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『人類5000年史Ⅰ』(ちくま新書)、『「全世界史」講義Ⅰ、Ⅱ』(新潮社)、『仕事に効く教養としての「世界史」Ⅰ、Ⅱ』(祥伝社)、『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』(角川oneテーマ)、『教養は児童書で学べ』(光文社新書)、『ゼロから学ぶ「日本史」講義Ⅰ』(文藝春秋)など著書多数。

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小林 せかい 「未来食堂」店主

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こばやし せかい / Sekai Kobayashi

東京工業大学理学部数学科卒業。日本IBM、クックパッドで6年半エンジニアとして勤めたのち、1年4カ月の修業期間を経て、2015年9月、東京都千代田区一ツ橋に、カウンター12席の「未来食堂」を開業。メニューは日替わり1種のみ、着席3秒で食事ができる、決算や事業書を公開、「ただめし」「まかない」「さしいれ」「あつらえ」などユニークで超合理的な仕組みを考え、飲食業に新風を吹き込む。こういった活動が評価され『日経WOMAN』ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017を受賞

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