「自己肯定感の低い子」に親ができる1つのこと 「できる子」ほど自己肯定感が育ちにくい?
子どもの自己肯定感を支えるのは、無条件で自分の存在を受け入れてくれる「安全基地」の存在です。その「安全基地」を堅牢なものにしておくためには、子どもが何かを達成したとき、結果そのものではなく、子ども自身がどのように努力したのか、ということを評価することが重要になります。
子どもが「最初の一歩」を踏み出すために必要な条件
「成果」に対しては、「どんな結果であっても受け入れる」という、一見大雑把に見える方法がおすすめです。
自分自身に当てはめて、考えてみてください。 私たちが、好きな人、パートナーや家族に「愛されている」「認められている」と感じるのは、どんなときでしょうか。
それは、必ずしも、わかりやすい成果をほめられた瞬間ではないのではないでしょうか。むしろ、誰も気づかないような、地道な努力や、小さな成長に気づいてくれたときに、うれしさを感じます。また、「本当は弱い自分」「自分のダメなところも含めて受け止めてくれる」、そんな人に本当の愛を感じます。
子どもが自己肯定感を持つ大事な条件とは、子どもが「自分が成長したら喜んでくれる人がいる」ことを知っていることです。これは、私がオランダの教育を視察しに行ったときに教わった考え方です。
実際、「お父さんやお母さんが喜んでくれる」という思いで努力する子は少なくありません。挑戦しようか迷ったときにも「大変そうだけど、頑張ってチャレンジしたらパパやママが喜ぶだろうなぁ」と思えば、一歩を踏み出せます。
できたらほめる、ということも大事なことですが、そこでは「挑戦したことそのもの」つまりプロセスを認める、ということが自己肯定感を育むことになります。子どもの自己肯定感を高めてくれる言葉とは、「できた」「できない」といった事実にフォーカスした言葉ではなく、もっと小さな、自分でも気づいていなかった、成長や努力に気づかせてくれる言葉だと私は考えます。
子どもの自己肯定感を下げる要因のひとつに、「高すぎる目標設定」があります。 目標を立てることは大切です。どこに向かっているかを見失わずに、努力し続けることができるからです。
一方で、私たちの多くが「高い目標を立てすぎている」と私は考えています。最終的に高いゴールを目指すのは悪いことではないのですが、「親子で無理な目標を立てたものの、達成できなかった」といった経験ばかりが積み重なると、ただただ子どもの自己肯定感が下がってしまう原因にもなります。 そうしたとき、経験の少ない子どものほうが、より失望感を味わうこともあるでしょう。
さらによくないことに「うまくいかなかった」「努力したのに報われなかった」という経験が続くと「目標」はしょせん「達成できないレベルに設定する絵空事」である、というマインドセットになってしまいます。では、どうすればいいのか。何かに挑戦するとき、私たちはつい大きな目標を立てないといけないような気持ちになりますが、じつは、すぐに達成できそうな目標を立てるほうがいいのです。