「自衛官よりレア」女性バス運転手は増えるか 業界熱望の「女性運転手」を定着させる方策
3月初旬のイベントでは、4社の女性バス運転手が仕事の実情を話し合う、トークセッションが行われた。そこでは、異業種から転職してきた女性運転手たちから、バス運転手という仕事の魅力について語られた。
例えば「バスの運転手は深夜勤務も体力仕事もなく、働きやすい」「乗務時間に応じて給与がもらえるし、性別による賃金格差がない」といった条件面のメリットや「お客様から『ありがとう』と言われると嬉しい」「女性が珍しいためか『頑張ってください』と声をかけられることもよくある」といったことだ。やりがいに関する発言が多く出てきたのが印象的だった。
大型二種免許が必要なバス運転手の仕事には、向き不向きもあり、誰にでもできるものではない。「もともと運転が好きだった」「運転好きでトラック運転手を目指していたが、知り合いの勧めでバス業界の就職について調べたら、接客も好きな自分に向いていた」と話す人もおり、やはり、自動車の運転が好きだったり、得意だったりする人が就くことが多いようだ。
定年まで働けて性差別もないが、拘束時間も長い
冒頭に記したように、女性が少ない業界であることについて、どう考えているのか。ある女性運転手は次のように話す。
「前の仕事では、大型2トン車に幌をつけて屋根から飛び降りたりしていました。『これは40代ではできない』と思って、バス運転手に転職した。今、勤務している営業所には、約200人が勤務している。うち、女性は6人。ドライバー5人と事務1人だ。女性は少ないけれど、自分はもともと男っぽい性格だから気にならない。育休や生理休暇も取れるし、定年まで働けて男女差別もない」
このように、前職が体力仕事だった人にとっては、バス運転手は働きやすい仕事と感じるようだ。こういう女性たちに対しては、バス運転手の仕事の魅力を訴求していくことが有効だろう。一方で、このような話もあった。
「仕事とプライベートの両立を可能にするためには、シフトの組み方を変える必要がある」「運行ダイヤの見直しなど、時短勤務への対応が必要」
ある女性のバス運転手は、朝6時過ぎにバスで車庫を出て、19時に車庫に戻るシフトを月に何回かこなすという。途中、休憩を挟みつつも、拘束時間は13時間を超える。勤務先では、最近、月の休日を6日から8日に増やして実質週休2日にするなど働き方改革に取り組んでいるが、一般的な感覚に照らせば長時間労働といえるだろう。
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