「女性活躍推進」を掲げる安倍政権。掛け声は勇ましいが、一朝一夕で結果が表れるものでもない。
人事情報のポータルサイト「日本の人事部」が2018年4月に実施した調査では、4630社のうち、(女性活躍推進が)「成果を上げている」「どちらかというと上げている」と答えた社は45.5%と半分には届かなかった。「上げていない」という企業がそう判断する基準として最も多かったのは「昇進に意欲的な女性従業員が増えていない(もしくは減った)」(60.7%)というものだった。
「女性の側に(昇進したいという)意欲がなくて」――これは企業側から確かによく聞こえてくる声だ。実際に、ある株主総会で、女性登用が進まない理由として人事担当役員がこう答えていたが、「女性側の意識」が問題の根幹である、という説明にはもやもやとした違和感を覚えずにはいられなかった。
麻生太郎財務大臣の「子どもを産まなかったほうが問題」発言しかり、「責任は一方の側だけにあるのか」と問いたくなる。まだまだ女性活躍にはほど遠い日本の現状だが、特にリーダーシップ層への女性登用は遅々として進んでいない。
日本には女性リーダーの「ロールモデル」がいない
働く若い女性たちと話す中で、女性活躍のイメージが持てない理由の1つとして、よく出る話題が「ロールモデルがいない」ということだ。「ああいうふうになりたい」「あんなすてきな生き方をしてみたい」と思わせる女性リーダーが日本にはほとんどいないというのだ。実際は、筆者の身の回りにも、有能で凛とした新時代の女性役員が現れ始めているのだが、問題は、国のリーダーとしてお手本的存在であるべき政界に、絶望的なほど「ロールモデル」がいないことである。
記事「『怒りながら叫ぶ女』はどうして嫌われるのか」でも詳述したが、女性リーダーのコミュニケーションは極めてハードルが高い。
リーダーシップには、competence(有能さ)と、warmth/likeability(温かみ/好感度)の2つの座標軸があり、この2つが高い人が優れたリーダーということになるが、男性の場合、「有能」であれば、「温かみや好感度」についてはさほどなくても許されてしまうところがある。多少、冷たい印象で、好感度は低くても、それは冷静さや決断力と解釈され、さほどのマイナス要因にはならないのだ。
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