4冊の本が教えてくれた目指すべき経営の理念 実践して自分の知恵となるまで何度も読む

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結論として、ビジネス成功へのカギは「①ビジョン」「②ピープル」「③データ」「④イシュー」「⑤プロセス」「⑥トラクション」が重要だと説いている。例えば①ビジョンにおいては、10年後にどうありたいか、がイメージできていることが望ましい。

いきなり10年後の目標をどのように達成していくかはイメージしにくいが、3年後であればイメージしやすい。1年後であれば、より具体的な目標が見えてくる。そこで、1年後に何億円かの売り上げを達成するには、次の四半期に何をすればいいか、すべて言葉にしてシートに書き出しなさいということが書かれている。

この手法をとれば、頂上を目指すルートが明確に見えてくるというわけだ。また、ビジネスにおいて目標を「言語化」することの重要性も学べる。顧客がわれわれに何を期待しているかということを常に言語化しなくてはいけないからだ。

読んで実践することが知恵につながる

そして⑥のトラクションでは、ミーティングを取り上げている。日本企業では、よく無駄に時間が流れるだけの無意味な会議が行われることも少なくない。同書では「レベル10ミーティング」という、会議に点数をつけて評価する手法などが紹介されている。

会議で得られた成果などを10点満点で評価する試みだ。「今日の会議は7点」などとポイントをつけて、次の会議で10点にするにはどうするか?を決め次回の対策を共有するのだ。ほかにも、「複数の議題に対し、あらかじめ優先順位をつけておく」といった有用なアドバイスが具体的に紹介されているので、非常に参考になった。

経営者が読んだ本を語る記事は、よく目にする。ただ、「彼がどの本を読み、どんな感想を抱いたか」よりも、ビジネスマンが本当に知りたいのは、「彼らがその本を読んでどう経営や実務に生かしたか」だと思う。

自らの行動・経験から学ぶのはいい。ただ先人の知恵や失敗を読書から学ぶことをすれば、無駄な失敗を減らすことができるかもしれない。ただそれも自分が実践しているからこそ、「知恵」となって自分の血肉となり、ひいてはビジネスマンとしての成長にもつながるのではないだろうか。

楠山 健一郎 プリンシプル代表取締役社長

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くすやま けんいちろう / Kenichiro Kusuyama

1973年埼玉県生まれ。1996年国際基督教大学卒業。同年シャープに入社。2000年サイバーエージェント入社。2001年トムソン・ロイターグループ入社。2007年トムソン・ロイターメディア事業部門の日本責任者に就任。2010年オークファンに入社し執行役員に就任。2011年プリンシプル設立。

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