「起業家うつ」を救ったビジネスコーチの教え

対話を通じて自分の中にある答えを導く存在

仕事でうまくいかないとき、アメリカでは主にメンタル面からサポートするビジネスコーチングが盛んです(写真:EmirMemedovski/iStock)
デジタルコンサルティングファーム、プリンシプルの楠山健一郎社長の体験から導き出された「アメリカにおける起業の極意」。連載第4回は起業家のメンタル面について。楠山氏が陥った「起業家うつ」、そして「燃え尽き症候群」から立ち直らせたビジネスコーチングを紹介します。

起業家に対する世間的なイメージというのは、バイタリティにあふれたタフな精神の持ち主で、少しのことではくじけないような強い人物像を思い描くかもしれない。そんな経営者もいることだろう。しかしシリコンバレーの起業家を見て、また自身の経験からそんなことはないのではないか?と大いに疑念を持っている。

起業家の半分近くがメンタルに問題抱えるとの報告

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実際、専門家によれば起業家の性格特性とメンタル疾患は紙一重のものらしい。UC Berkeleyの調査によれば、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の生涯罹患率は起業家の場合29%(対照群=非起業家は5%)と極めて高い。

薬物やアルコールなどへの依存率も起業家は12%(対照群は4%)と、3倍も高くなるというデータがある。また、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMichael Freeman博士の調査によると、「起業家の49%が、生涯に一度はメンタルの問題を抱える」との報告もある。

私もまさに海外展開当初にシリコンバレーでうつ寸前の状態になった。小さな頃からビジネス大国アメリカで勝負したいと渡米したが、待っていたのは厳しいビジネスの現実と、それによって露呈したメンタルの弱さだった。そしてあまりに長くアメリカにチャレンジして行けなかった経験から、アメリカに行くことが目的化し、「燃え尽き症候群」に陥っていた。

アメリカで拠点をつくることは私にとって第2の起業と言えるものであるが、当時の私はアメリカにはツテもなく、ビジネスパートナーや話し相手も自分でつくるほかない。

当初は意気揚々で、前向きにさまざまな相手にアポイントを取ったがなかなか結果を出せず、先行きも不透明な中でモチベーションは次第に下がっていった。海外で戦うという困難さに加え、一から新しい土地で起業という行為自体の難しさも私にプレッシャーを与えていた。まさに「起業家うつ」的状態に陥ってしまったのだ。

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