キューバ、経済自由化に進む社会主義国の実情

私有財産を許可、4月に憲法改正案公布へ

キューバの街並み。アメリカ製のクラシックカーも走っている(筆者撮影)

「Changeじゃない。私たちは今“Improve”の最中にいるんだ」

2月末、カリブ海に浮かぶ社会主義国であるキューバでは憲法改正をめぐる国民投票が実施された。国民から約87%もの支持を得た新案は、私有財産の許可範囲を拡大、外貨獲得へ舵を切ることなど、平たく言えば経済の自由化を促進するというもの。4月から憲法改正案は公布される見通しだ。

冒頭は、選挙に参加したジュアン・フェルナンデスさん(67歳)の訴えだ。ジュアンさんはこう続ける。

キューバの現状を話したジュアン・フェルナンデスさん(筆者撮影)

「2010年から政策として自由化や外国投資の促進は進められてきた。その延長線上で、今回やっと法律上でも認められる形となったんだ。キューバ人は、カストロ兄弟のもと世界でもほかに類をみない文化と歴史を刻んできた。

ただ、世界の動きは早く、時代に取り残されないようにする配慮も必要だ。よい部分を残しつつ、時代の流れにアジャストするという姿勢も持たないとダメだろう。私たちは今、変革のときを迎えている」

2008年にフィデル・カストロが国家評議会議長を辞任してから、実弟のラウル・カストロが就任、2018年4月に引退したことでカストロ兄弟による統治体制が終了した。

国民にとってみれば社会主義と生活向上を願うバランスの“改良”の期間であったのかもしれない。キューバが迎えている変化とはどんなものなのか。現地取材から見えてきたその実情をひもといていく。

国民投票が承認されたキューバの迎える変化

キューバという国は、不思議なバランスのもとで成り立っている。革命家チェ・ゲバラ、葉巻、ラム酒「ハバナクラブ」などで日本でも知られるこの国では、1959年のキューバ革命以降、国際的にも独自の路線を進んできた。

2016年の国家統計局のデータに目を通せば、実質GDP成長率は0.5%(2015年は4.4%)と落ち込んだにもかかわらず、失業率は2.0%(2015年は2.4%)となっている。中南米諸国と比較しても労働市場は安定していると言える。

このカラクリは、国家公務員制度と高い教育水準にあるだろう。ノエル・ゴンザレスさん(70)は、筆者を自宅に招き入れキューバの労働状況を熱弁してくれた。

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