キューバ、経済自由化に進む社会主義国の実情 私有財産を許可、4月に憲法改正案公布へ

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キューバでは、ホテルの代わりにカサ(民家)に宿泊するというのが一般的だ。筆者も滞在中このカサを利用したが、それでもアメリカ企業である、「Airbnb」を経由した予約は非常に難航した。先出のノエル・ゴンザレスさんが明かす。

「ここ10年でさまざまな規制が緩和されているけれど、インフラ面でいえばキューバは後進国であることは間違いない。キューバ人の平均月収は40ドルほどと言われている。ただ、個人でもそういった生活面を少しでも改善したいという人々が現れてきて、闇市で輸入した海外製品を販売することが問題になっているよ。

平等という概念からは外れるが、サイドビジネスをする人が増えている。これは国民からすれば仕方がない流れでもあるんだ」

キューバに宿泊する際はホテルではなく、民家に泊まるのが一般的だ(筆者撮影)

キューバを訪れる観光客は年間500万人近くに

ニッケルやタバコ、医療サービスの輸出と並び重要な外貨獲得の主産業であるのは観光業だ。通貨を国民向けの「CUP」と、外国人が主に利用する「CUC」に分けていることからも観光業への注力具合はうかがい知れる。2018年の外国人旅行者は約478万人にも及び、11年連続で増加している。

日本人に限っても、ここ5年で3倍近い水準で増加しており、2万人を超える人々がこの国を訪れている。制限以上に余りある魅力がキューバに観光客を呼び寄せているのだ。

キューバ観光の魅力を一言で表現するのは難しい。透き通るような青い海、世界文化遺産にも登録されている旧市街の街並みは、スペイン植民地時代からの歴史の重みを感じさせる。町中を走るクラシックカーは世界中の旅行者が心を躍らせるだろうし、人懐っこい国民たちは旅行者とのコミュニケーションを好む。中南米諸国と比べて、治安のよいことも旅行者が増加している一因として挙げてもよいだろう。

筆者がキューバを訪れたとき、雲ひとつない青空が広がっていた(筆者撮影)

先述したような旅行者にとっての不具合や、国民性や街並みも含め、わかりやすい”キューバらしさ”が多くの旅行者を惹きつけているのではないか。

首都ハバナで高層マンションを利用し、民泊サービスを提供するライアネット・オヴィマスさん(30)はキューバの観光事情をこう説明する。

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