キューバ、経済自由化に進む社会主義国の実情 私有財産を許可、4月に憲法改正案公布へ
「ハバナでは現在ホテルの建築ラッシュが続くなど、観光のインフラ整備が急速に整えられてきましたね。
カサ(民家)の数に至っては、正確に把握できないほどの数があります。
政府も観光産業へ注力していて、観光客に対しての窃盗などは重い罪に問われるし、町には治安維持のために多くの警察官がにらみをきかせている。そんな背景から、治安の良さは世界でも有数のレベルでしょう。
だから、観光に携わる自営業者の収入も高い水準になってきている。今後のキューバにとっても、観光は成長が期待できる分野であり、伸びてもらわないといけない産業でもあるんです」
今、キューバは変わろうとしている
そんなキューバにおける、国民たちの意識変化は興味深い。日本国内でも、キューバの憲法改正案は報道されたが、現地で暮らす人々はどう捉えているのか。また、どう”変わるべき”なのか。フィデル・カストロが卒業したことでも知られるハバナ大学で歴史学を専攻するイヴァン・グウェンッア・リベロさん(22)はこう語る。
「大学生という私の立場から言えば、新案により給料の水準が変わっていくのかが最も注視している点です。私たちは昔からずっと同じ問題を抱えています。それは、キャピタリズム(資本主義)とソーシャリズム(社会主義)のバランスをいかに取るのかということでもあります。
5年ほど前にも、キャピタリズムに傾倒しつつあるのでは、という危惧の議論が国内でも起きました。国民のほとんどは、ベストリーダーとしてカストロ兄弟を尊敬してきました。
ただ、カストロ兄弟が一線を退いた今、新しいリーダー(2018年に就任したミゲル・ディアス・カネル)を迎えキューバは変わろうとしている。
インターネットの普及といったインフラ整備など現実的に解決しないといけない問題は多いですが、未来へ向けて新しい一歩を踏み出したことは非常に嬉しく感じていますね。そして、この国の未来のためにも国際社会の中でどのように振る舞うのかということを、国民は考えるタイミングでもあるでしょう」
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