日本人の「教育改革論」がいつも的外れなワケ

課題は「子ども」ではなく「社員教育」にある

教育を考えるうえでも、カギとなるのは「人口動態」だといいます(撮影:尾形文繁)
オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。退職後も日本経済の研究を続け、『新・観光立国論』『新・生産性立国論』など、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行された。
人口減少と高齢化という未曾有の危機を前に、日本人はどう戦えばいいのか。本連載では、アトキンソン氏の分析を紹介していく。

「子どもの教育」が日本の最優先課題なのか

テレビをつけるたびに、「子どもの教育がおかしい」「今の日本経済が低迷している原因の根本は学校教育にある」などという話が耳に入ってきます。

『日本人の勝算』は発売2カ月で5万部のベストセラーとなっている(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

経済同友会でも経団連でも、またはほかの会合の座談会でも、必ず出るのが教育制度の議論と批判めいた話です。

一方で、「将来の日本を背負う子どもをどう教育していくべきか」という、教育改革についての議論も盛んに行われています。その裏には、教育を改革し、その新しい教育を受けた次世代ならば、日本の将来を劇的によくしてくれるのではないかという、願いにも似た期待が垣間見られます。

実は、以前から何度も教育をテーマとして取り上げてほしいとリクエストを受けてきましたが、これまではお受けするのをあえて避けてきました。それには明確な理由がありました。

それは私自身、日本の教育制度が日本経済の衰退の主因であるという考えには、疑問を持っているからです。

理由は2つあります。1つは、そもそも言われるほど日本の教育が悪いのか、悪者に見えるだけではないのかという疑問です。もう1つは、そもそも日本の教育の問題点は、子どもの教育ではなく成人の教育にあるのではないか。要するに、人生100年時代の日本で、教育の対象が間違えて議論されているのではないかという疑問です。

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