日本人の「教育改革論」がいつも的外れなワケ 課題は「子ども」ではなく「社員教育」にある

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こういう話をすると、社員教育に注目して、直ちに是正すべきだという意見が沸き上がります。気持ちはわかりますが、私は、このことは問題の根幹ではないと解釈しています。

物事には原因と結果があります。日本における社会人教育がお寒い状況にあるのは、いわば結果です。経営者が生産性向上を追求していないのであれば、わざわざコストをかけて社員教育をする理由はありません。

日本にはあまりにも小さい企業がたくさんあり、そういった企業は最先端技術を導入できません。社員教育をするお金もないのですが、そもそも社員教育をする理由がないのです。

ですので、社員教育の問題を直接改善しようとしたところで、あまり大きな効果は期待できません。必要なのは経営者を生産性向上にコミットさせる政策です。これまで文部科学省がやってきた生涯教育に関する施策があまり効果が出なかった理由は、ここにあります。

要するに、日本では海外に比べて社員教育が充実していないという事実を基に、社員教育の充実を狙った施策を用意したとしても、それを使おうという経営者たちのインセンティブを高めないかぎり、利用されず無駄になってしまう可能性が高いのです。

日本政府が今まで行ってきた地方創生や中小企業政策、輸出政策などが、ことごとく空振りに終わっている最大の理由は、日本経済の衰退の原因をきちんと分析をしてこなかったことにあると思います。要因分析をしないままで、表面的な違いを見て講じた政策が、大きな効果をもたらすとは思えません。

教育は「人口動態」を無視して語れない

しかし、生産性向上にコミットするなら、どう考えるべきでしょうか。日本の教育を考えるときに、決して見逃してはいけないのは人口動態の変化です。

日本で教育について論じる場合、「子どもの教育」を論じることがほとんどなのではないでしょうか。今の日本では「教育とは22歳までに受けるもの」というのが、圧倒的に支配的な考え方になっているように感じます。

確かに1950年代は国民の55%が24歳以下でした。当時は今に比べると寿命が短かっただけではなく、子どもの絶対数が非常に多かったので、彼らにしっかりとした教育を施しておけば、そう遠くない将来、成長した彼らが企業の過半数を占めるようになり、同時に社会に大きな貢献をもたらす存在になるのです。ですので、彼らをしっかり教育するために知恵を絞るのは、非常に合理的であったと言えるのです。

しかし、2030年には、国民の82%が25歳以上になります。少子化によって子どもの数が減り、今後は、いつまでたっても若い人が人口の過半数を占めることはありません。さらに寿命が延びるのに伴い、仕事から引退する年齢は年々高くなっていきます。つまり、学校教育を受け終えてから、引退するまでの期間がいままでよりずっと長くなるのです。

子どもの教育の充実が重要なのは私も決して否定はしません。しかし、先ほども述べたとおり、全国民の82%以上が25歳以上になるのです。25歳以上の人を対象とした教育のほうが、わずか18%しかいない25歳未満の教育より、ずっと重要になるのは当然でしょう。

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