「格上の会社」から受注するための商談の極意 大事なのは「マナー」「義務感」「根拠」の3つだ

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なぜ彼らがマナーを身につけているのかといえば、それはやはり周囲との交渉・説得上有利だからでしょう。

そして裏を返せば、彼らもまたマナーのちゃんとした人間の人柄に好感を抱くという証拠でもあるわけです。

では、マナーに従い、礼儀正しく振る舞うことに気をつけたとして、格上の相手を説得するにはどういう話の持っていきかたをすればいいのでしょうか?

格上の相手は「義務感」で攻めろ!

ここで、1つスタンダードとなる方法を示したいと思います。

古代ローマ最大の弁論家・キケローの著書『弁論家について』にいわく、人を動かすことを目的とした説得には2つの筋道があります。すなわち、

1. 義務感に訴える
2. 感情をあおる

このうち、格上の相手を説得する際には、とくに前者の義務感に訴えることが大切になります。義務感とは、要は「この立場にある以上、こうしなければいけない」という感覚のこと。

力や立場のある人間は、それに伴った義務を自然と意識しているものです。

権力者の義務、専門家の義務、リーダーの義務、上司の義務、先輩の義務。これらの義務は、他人に期待されたり、自分で「そうしなければ」などと意識したりする中で、その人の行動を自然と束縛します。

格上の人間を説得するには、その義務感をつくのです。すなわち、相手の立場や能力・権力を最大限、尊重しリスペクトする姿勢を見せながら、「だからこそ、あなたが○○しなければいけない」と訴えるのです。

例えば、次のように。

「こんな難しい仕事を頼めるのは、○○さんしかいないんです」
「ここで決断を下すのが、部長にしかできない役割だと思います」
「こうした専門知識を一般に紹介できるのは、この分野の第一人者であるあなたしかいません」

こうした形で義務感に訴えるのです。

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