「格上の会社」から受注するための商談の極意 大事なのは「マナー」「義務感」「根拠」の3つだ

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本連載では説得力には3つあるという話をしてきました。

ここで高速で振り返ると、1つ目は話の内容(ロゴス)の説得力。2つ目は感情(パトス)をあおることによる説得力。3つ目は話し手の人柄(エトス)による説得力です。

そして、格上の相手を説得する際に、とくに重要になるのが3つ目に挙げた人柄による説得力です。つまり、「コイツの言うことだから、受け入れてやろう」、そんな説得力を持つことが、格上相手の説得では大切なのです。

「マナー」は最も重要な振る舞い

ただ、格上の相手に人柄を売り込むというと、なにか奇をてらったことを考えがちです。

印象を残そうと、やたらトガッたことや変なことを言ったり、変わった服装をしたり。たしかに、時折、ビジネス武勇伝的な話で、そういうエピソードを聞いたりします。

念のために言っておくと、そういうのは基本ファンタジーの世界の話だと割り切ったほうがいいでしょう。

もちろん、相手を事前に入念に観察・調査し、相手の求める人物像がわかったうえでやるのなら、イチかバチかでいいかもしれませんが、それでもやはり奇策の部類に入るでしょう。失敗したときのことを考えると割に合いません。

それよりも格上の相手に人柄を売り込むうえでもっと大事なことがあります。

それは、マナーです。

あまりにも当たり前の話で、びっくりしたでしょうか。しかし、これがなぜ「当たり前」なのかを改めて考えなくてはいけません。

正しい言葉遣いやお辞儀の仕方、名刺の渡し方や受け取り方といった既存のマナーはなぜ社会人にとって大切だとされているのか?

それは、こうしたマナーが周囲に気に入られるための最大公約数の振る舞いであり、交渉・説得のうえでは、話し手の人柄(エトス)を聞き手に対して保証する武器だからです。

実際、これを書いている筆者も、仕事の関係でさまざまなジャンルでカリスマと言われる起業家やビジネスパーソン、あるいは政治家などにも会ってきましたが、変わった人はいてもマナーのない人には、ほとんど会ったことがありません。ネットなどで荒くれてるタイプのカリスマも、会ってみれば、正しいマナーで名刺を渡してくれるものなのです。

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