これだけ見ると、もはや海外のトップエリートたちの日本への関心は消えたのかと思いそうだが、意外なことに、日本人や日本文化に対する関心は、実は異様なまでに高い。それを強烈に感じたのが、ビジネススクール1年生の最後に行われるジャパントレックだ。
ハーバード生100人を連れて日本旅行
HBSでは、ジャパントレックと称した学生主導の日本旅行が、伝統行事となっている。企画から運営までのすべてを日本人留学生が担い、クラスメートを約1週間の日本旅行に引率する。企業と卒業生の寄付金で一部支えられてはいるものの、参加者は多額の旅費を自腹で払って参加する。
そのジャパントレックが例年、すさまじく人気なのだ。われわれの代も、当初、設定した募集枠が瞬く間に埋まり、増枠に続く増枠で、最終的には100人規模のトレックになってしまった。HBSでは毎年10以上のトレックが企画されるが、多くは30~40人規模で、100人規模になるのは日本とイスラエルの2つしかない。
参加者たちの高い期待に応えようと、ツアー内容を考える日本人留学生も必死だ。2013年のジャパントレックは、京都、広島、箱根、東京の4都市を8日間かけて回った。
観光名所巡りだけでなく、禅体験をしたり、浴衣姿で大宴会をしたり、全身で日本を体験できるようにした。もちろん、ただ遊び呆けているだけでなく、広島平和記念館で広島元市長の講演を聞いたり、日本を代表する大企業の社長からお話を聞いたりもした。
この1週間あまりの日本旅行で、HBS生の日本に対する印象は大きく変わるようだ。
「今までさまざまな国を旅行してきたが、日本ほど魅力的なところはないと断言できる」
「日本に来るのは初めてだったが、すでに母国のような居心地のよさを感じる」
「将来、日本とビジネスをして、この国のことをもっと知りたい」
など、まるでおカネを払って言わせているんじゃないかと思うような、ポジティブな感想がポンポン出てくる。とにかく、遠慮がない、歯に衣を着せぬ発言をするHBS生たちなので、お世辞コメントということはないだろう。日本を離れる頃には、彼らは日本の大ファンになっている。
ハーバード生が日本で感動するものとは?
彼らは日本のどこに感動するのだろうか?
われわれが彼らを連れていくのは、清水寺や築地市場や温泉といった日本っぽい場所である。それはそれで喜ばれるのだが、彼らを本当に感動させるのは和の心だ。
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