AKBオタは、なぜリアルな恋愛ができない?

宮台真司が語る、絶望の時代を生き抜く恋愛学

少年犯罪問題や国家権力問題から映画批評まで、幅広い分野で独自の言論活動を展開する社会学者、宮台真司氏。彼は新刊『「絶望の時代」の希望の恋愛学』の中で、今の日本における恋愛、性愛の困難さについて検証し、読者に対して「性愛の旅に出る」ことを勧めている。
 <非モテ/リア充>の格差、加熱するアイドルブーム、増え続ける<結婚したくない人たち>……。この恋愛砂漠を、私たちはどのように生き抜けばよいのだろうか? 
宮台氏は、性愛を考えることは、政治と経済を考えることだという。「恋愛? オレには関係ないよ」「今は仕事が優先だから」と思っているあなた! 価値観がひっくり返る、ミヤダイワールドへようこそ!!

「恋愛? 自分には関係ない」というビジネスマンへ

――社会学が専門にもかかわらず、恋愛、性愛について問題提起をされたのはなぜですか?

なぜ性愛の困難が克服されなければいけないか。性愛などどうでもいいではないか。ビジネスマンでは特に、そんな疑問を持つ方がいるかもしれませんね。

答えましょう。性愛はどうでもよくありません。理由は単純で、人間の〈尊厳〉すなわち〈入れ替え不可能な自己価値〉を保つためです。それがわからない人は、不幸になるしかありません。

まず経済と政治に関わる社会構造を理解する必要があります。

昨今は〈社会はどうあれ経済は回る〉ようになりました。グローバル化=資本移動自由化が背景です。労働者からの賃上げ要求や再配分のための増税要求があれば工場や本社を移転させればいい。経済団体は貧困や格差の手当てに関心をもたず、それでも経済は回るようになったのです。

さらに、〈社会はどうあれ政治は回る〉にようになりました。貧困や格差で人々が不安と鬱屈を抱えると、右往左往する〈不安厨〉と溜飲を下げたい(=すっきりしたい)〈溜飲厨〉を当て込む〈感情の政治〉がはびこります。餌を撒いて彼らの感情を釣っておけば、貧困や格差の手当てはいらない。今後も十分な手当てはあり得ません。

〈社会はどうあれ経済は回る〉と〈社会はどうあれ政治は回る〉が〈感情の釣り〉を蝶番にしてつながるのです。今の安倍政権と国民の関係はまさにこの状態です。

こうして社会の疲弊が放置されたままとなり、人々は巧妙に設計された〈感情の釣り〉で見当違いの噴き上がりを示し続けます。この〈あさましさ〉に抗ってどう〈尊厳〉を維持できるかが問題です。 

次ページ「性」と「政」の問題がなぜつながるのか?
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