日本がマレーシアに「洋菓子のW杯」で負けた理由 アジアナンバーワンの座を奪い返せるか

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2019年マレーシアチームの作品(スコア:1万1904ポイント)(©Julien Bouvier Studio)

「圧倒的な手数の多さで、仕事に妥協がない。(日本は)やられるかもしれない、と思った」。マレーシアの作品を見た松島義典さん(2003年の日本代表メンバー)は会場でそう感じたという。結果は、優勝がマレーシア、日本は僅差で準優勝、3位はイタリア、だった。

「なぜマレーシア?」

それにしてもなぜマレーシアだったのか? これまで1度も入賞したことがないのに、いきなり優勝である。

大会関係者はこう話す。「執念の勝利でしょう。マレーシアは8年前から優勝だけに的を絞っていました。フランスからコーチを招き、徹底的に技を吸収し続けた」。2013年から3大会、日本を準優勝に導いた団長(監督役)寺井則彦さんも勢いを見抜き、「マレーシアに気をつけろ」と次期メンバーにアドバイスしていたという。

マレーシアの代表メンバーは、ウエイローン・タンさん、オットー・テイさん(アカデミー・オブ・ペストリーアーツ)、ミンアイ・ロイさん(ドブラ・アジア)。3人は同じ製菓学校の現役・または元講師で、2013年から過去4回、または3回、と何度も大会に出場し続けている。

ステージで作品を作る選手と、観客席から声援を送る日本の応援団。3人のために3曲応援歌があった(筆者撮影)

一方、日本の代表メンバーは、西山未来さん(スタジオ・シュゼット)、伊藤文明さん(パティスリー メゾンドゥース)、小熊亮平さん(グルメ和光)で、全員が企業所属のパティシエ、または洋菓子店のオーナーで、3人とも世界大会は初出場だ。

同じ選手が毎年出場してはいけない、というルールはない。マレーシアには、国際大会レベルのパティシエが少ないこともあり、同じメンバーを繰り返し出場させてきたが、日本はパティシエの母数が多いため、毎回予選を行い、メンバーを一新する。日本では、広くパティシエにチャンスを与える「登竜門」と考えられてもいるのだ。

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