「デジタルプラットフォーマー」とは一体何者か

「GAFAなど」と一括りにするのは大問題だ

アマゾンが“ネットを通じた小売り”を主業務としていることは明らかだが、俯瞰してみるとやや異なる表情が見えてくる。その最も大きな特徴はキャッシュフローだ。例えば純利益に関して言えば、彼らはずっと長い間、わずかな利益、あるいは少しばかりの損失を出し続けてきた。

近年、その状況も少し変化してきているが、利益は基本的に出さない。その一方で、営業キャッシュフローは爆発的に増え続けている。

書籍販売から始まったアマゾンの本来のサービス属性は、“スペックだけで取引できる、品種の多い商品ジャンル”に絞り込んだうえで、実店舗では実現できない幅広い取り扱い品目を実現できる、ネット販売の長所を前面に押し出した小売業者だった。その最も典型的なジャンルが“本”であり、本に続いて扱いを始めたDVDやCDだったわけだ。

では現在のアマゾンはといえば、ホールフーズなどリアル店舗での展開を除いてネットでの小売り事業者としての戦略は、営業キャッシュフローを最大化する中で顧客の購買行動、嗜好性に関する情報を集め、適切なリコメンド(オススメ)を行う仕組みを、サードパーティーに提供することで成長する会社と言える。

アマゾン自身が販売する商品で利益を追求しなくとも、お得に好みの商品を見つけやすいとなれば、小売りサイトとして魅力的となり、顧客が集まる。そのうえで、顧客が気持ちよく買い物をするための分析データを活用し、他社に販売機会を提供するマーケットプレイスで収益を上げ始めている。

すなわち、自社で販売する商品の営業利益はほとんど出さずにイーブンとしながら、消費者にとって心地よい買い物の場を作り出し、そこに“マーケットプレイス”という名のテナントを呼び込んで利潤を上げるのが現在のアマゾンと言えるだろう。

アマゾンは消費者の行動を極めて細かく分析しており、商品を購入するに至るプロセスだけでなく、「購入しなかった」情報も参考にしている。例えば、何度もアクセスし、明らかにある属性の製品を購入しようとしているのに、結局は購入しなかった。そんな購入しなかった人が、次回、同じ属性の製品を購入した。では、どんな条件が変化したのか?

アマゾンはデータを外部に販売したり、広告を通じてクライアントに価値を提供したりはしないものの、プラットフォームから得られる情報を元に“場”を作り、買い物をする“場”を他社に提供することで価値を創出している会社だ。

成長すればグローバルなプラットフォーマーになる

筆者は各社のビジネスモデルに関して批判しようとは思わない。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOが言うように、無料でサービスを提供しているのだから、広告価値を高めることに注力することは悪ではないというのは、ある意味正しい意見なのだろう。

しかしプラットフォーマーと呼ばれる企業も、それぞれに本業があり、なぜプラットフォーマーになっているのか。その事業の本質は何かを見極める必要はある。“デジタルプラットフォーマー”あるいは“巨大IT企業”といった曖昧な括りで見ていると、対処や判断を誤ることになるだろう。

もちろん、筆者の各社に対する見解が、その企業の100%を表現しているわけではない。例えば、アマゾンはネットワークサービス事業者としての効率化を図るため、ネットでの小売りサービスを充実させるためのサーバーをクラウド型のサービスとして提供してきた。今やその規模は副業とは言いがたい規模に達している。

いずれにしろ、ネットワークサービスを提供する企業は、成長していく中でグローバルの企業になっていく。質の高いインターネットサービスは、国をまたがって使われていくものだからだ。成長していけば、いずれグローバルに広がり、プラットフォーマーと呼ばれるようになっていく。

これからG7に向けて、さらに議論は深まっていくだろうが、対象企業について大まかに“これらの企業”と見るのではなく、個々の事業が何かを見極めるようにしたい。

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