「デジタルプラットフォーマー」とは一体何者か 「GAFAなど」と一括りにするのは大問題だ
7月に控えるフランスでのG7(先進7カ国首脳会議)を控え、昨年より繰り返し指摘されている“デジタルプラットフォーマー”と呼ばれるIT巨大企業に対する規制議論が活発になっている。
G7でフランスは、議題の中に“GAFA規制”を盛り込む方針だという。
しかし、繰り返し報道されている“GAFA”という取り上げ方に、違和感を覚えている読者もいるのではないだろうか。GAFAとして名指しされている企業は、いずれも異なるビジネスモデルの企業だからだ。
今一度、GAFAに関する議論を確認してみよう。
高まるデジタルプラットフォーマーに対する規制圧力
GAFAに関しては日本でも昨年来、総務省、経産省、公正取引委員会などで議論されている。
2月13日に開催された未来投資会議では、アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブックなどを“デジタルプラットフォーム企業”と定義付けたうえで、個人の行動情報の独占や市場での優越的な地位の乱用を防止するための枠組みを策定するため、省庁の垣根を越えた専門組織を編成することが決められた。今後、市場での競争環境を公正に保つためのガイドラインについて議論される予定だ。
一方、アメリカでは2020年の大統領選へ出馬を表明している民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、グーグル、アマゾン、フェイスブックを分割するとの公約を打ち出した。ウォーレン議員の解体計画は、ブログという手段で3月8日に発表された。
このブログでは、年間の収益が250億ドル以上の大手ネットワークサービス事業者を「Platform Utilities」と定義し、自らは自社のプラットフォームに参加できないようにする法律を施行するプランが主張されている。
プラットフォームを提供する企業が、自らのプラットフォーム上で事業をすることで競争環境が歪められているという意見だ。そのうえで、プラットフォーマーが競合となる企業を買収していくことで肥大化していくことを防ぎ、さらには解体することで反競争的な環境を解消していくという。
ブログではアップルについて触れられていないが、ネットメディアThe Vergeの質問に対し「アップルもiTunesのAppStoreが解体の対象となる」と話しており、(iOS機器という)プラットフォームを持つのであれば、アプリストアは分離せねばならないという考えを示した。
ネットワークサービス事業者だけではなく、ハードウェアの製造販売を主業務とする企業であっても、ネットワークサービスを通じて囲い込んでいる場合は、中小のイノベーティブな企業の成長を阻害しないためにも分離したほうが、アメリカ企業の健全な発展が可能という意見だ。
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