会話が続かないと悩む人へとっておきの処方箋 コミュニケーションには「聞く力」が必要だ

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まず「横の質問」とは、「ほかには?」「例外は?」「別の見方は?」というように、話の幅を広げる質問です。横の質問は、相手の視野を広げたり、視点を転換させたり、感情の状態を調べたりするときに効果的です。

対して「縦の質問」は、ある特定の話題について深掘りする質問のこと。例えば、「具体的には?」「そしたらどうなりますか?」といった質問のほかに、「5W1H」つまり、誰(who)、何(what)、いつ(when)、場所(where)、理由(why)、方法(how)を聞いていくことによって、話の内容をさらに深掘りしていく聞き方です。縦横の質問を使った事例は次のような感じです。

《縦横の質問の会話例》

A「最近のマイブームって何?」
B「そうねえ、いろいろあるけど、ホットヨガとか……」
A「ほかには?」(横の質問)
B「あ、そうそう思い出した! アイシングクッキー! すごく楽しいのよ!」
A「へえ! 聞いたことはあるけど、どんなものなの?」(縦の質問)
B「クッキーにお砂糖でかわいい絵やデザインしたりするのよ!」
A「楽しそう! 何がきっかけなの?」(縦の質問)

この事例では、最初に相手が「ホットヨガ」と答えたときに相手の感情があまり動いていないので、「ほかには?」と横の質問をしました。するとBさんは、「アイシングクッキー!」とすごくうれしそうに答えました。明らかにBさんの感情が強く動いたので、Aさんはこの話題について「縦の質問」で深掘りしていきました。

「横の質問」と「縦の質問」を併用する

このように相手の感情が動いていない場合は「横の質問」で相手の関心を探り、感情が動いたところで「縦の質問」で深掘りすると、話がとてもスムーズに展開していきます。気の利いた話題を提供したり、深イイ話をしたりしなくても、聞く側の視点で「縦横の質問」を使えば、十分に会話を盛り上げることができるのです。

以上のように、「相手が心地よくなる聞き方」や「縦横の質問を使った聞き方」を使うことによって、会話が苦手であっても、雑談上手になることは十分に可能です。

「聞く」という行為は、目立たず、受け身の姿勢のように思われますが、実際にはとても能動的な行為でパワフルなものです。

『「聞く力」こそが最強の武器である』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

世間一般的には「話し方」や「見せ方」といった目立ちやすいものにスポットライトが当りがちです。ですが、コミュニケーションにおいて、本当に大切なのは、「お互いが理解し合うこと」。お伝えしたように、理解は「聞く」から始まりますから、「聞く力」が身につくと、「人を理解する力」が高まる、のです。

人に対する理解力が高まれば、雑談のみならず、信頼関係が作りやすくなったり、リーダーシップがより発揮できたり、仕事のパフォーマンスが上がったりするなど、すばらしい成果をもたらしてくれます。

「聞く力」を身につければ、仕事や人生のあらゆる局面において「最強の武器」を手にすることになるのです。

國武 大紀 エグゼクティブコーチ/組織変革コンサルタント
くにたけ だいき / Daiki Kunitake

Link of Generation 代表取締役。1972年生まれ。滋賀県出身。大学卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。その後、JICA(国際協力機構)に就職。以後16年間にわたり、発展途上国の国際協力に従事。LSEに留学し、組織心理学の修士号を取得。名古屋大学大学院(国際開発研究科)客員准教授として指導。その後、外交官(OECD日本政府代表部一等書記官)となる。現在は、エグゼクティブコーチング、自己実現コーチングなどを行うほか、リーダーシップ開発や組織変革を専門とするコンサルタントとしても活躍している。著書に 『聞く力こそが最強の武器である』、 『聞く力こそがリーダーの武器である』(いずれもフォレスト出版)などがある。

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