プログラミング教育を進める現場に必要な視点 「狭義」のコーディングの技術教育はいらない

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小学校でのプログラミング教育。写真はイメージ(写真:ocsa / PIXTA)
2020年に小学校で必修化される「プログラミング教育」。教育関係者の間では誤解は解消されつつありますが、「プログラミング教育」はプログラミング言語やそれを用いてプログラムを作るテクニックを教えるもの、と理解している人はまだ多い現状があります。
プログラミング的思考を小学生たちに身に付けてもらうためにはどうすればよいか。実際の教育現場では何が必要なのか。岡嶋裕史氏の最新刊『プログラミング教育はいらない GAFAで求められる力とは?』より紹介します。

教員にかかる負担とプレッシャー

実際に、教育の現場で、どのような「プログラミング教育」が行われているのかを見ていこう。

ここでいう、「プログラミング教育」が何を指すかについては、「コーディングの技術を教える」のであればいらない、「プログラミング的思考を育む」のであれば推進すべき、が拙著『プログラミング教育はいらない』の主張である。

まず、多くの小学校は様子見、情報収集の段階である。各所でベストプラクティスの紹介には事欠かないが、半数以上の学校は戸惑い、悩んでいると考えて差し支えない。

日本の小学校の教育現場は、ただでさえ世界でも最高水準と言われる業務負担感を抱えている。そこに、教科が新設されるわけではなく(つまり、教員の補充はない)、しかし確実にプログラミング教育が乗っかってくる。現場の警戒感は相当である。

おそらく、2020年度の実施段階に至っても、省庁やコンソーシアムが公開するベストプラクティスを模倣しながら、恐る恐るの試行錯誤を始める学校が大勢を占めるだろう。 今はもう2019年、本来であればカリキュラムが確定し、そこで求められる什器・備品が発注されるべき時期であるが、今回のプログラミング教育導入に際しては、それすら間に合っていない学校も多い。

特に初年度については、アンプラグド(コンピューターを利用しない情報教育)が行われる学校も現れるだろう。 もちろん、それは悪いことではない。今回導入されるプログラミング教育の神髄が、コーディング技術の習得ではなく、プログラミング的思考の育成にあるのならば、パソコンやタブレットを利用したコーディング技術の教育は必須ではないからだ。

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