プログラミング教育を進める現場に必要な視点 「狭義」のコーディングの技術教育はいらない
教員にかかる負担とプレッシャー
実際に、教育の現場で、どのような「プログラミング教育」が行われているのかを見ていこう。
ここでいう、「プログラミング教育」が何を指すかについては、「コーディングの技術を教える」のであればいらない、「プログラミング的思考を育む」のであれば推進すべき、が拙著『プログラミング教育はいらない』の主張である。
まず、多くの小学校は様子見、情報収集の段階である。各所でベストプラクティスの紹介には事欠かないが、半数以上の学校は戸惑い、悩んでいると考えて差し支えない。
日本の小学校の教育現場は、ただでさえ世界でも最高水準と言われる業務負担感を抱えている。そこに、教科が新設されるわけではなく(つまり、教員の補充はない)、しかし確実にプログラミング教育が乗っかってくる。現場の警戒感は相当である。
おそらく、2020年度の実施段階に至っても、省庁やコンソーシアムが公開するベストプラクティスを模倣しながら、恐る恐るの試行錯誤を始める学校が大勢を占めるだろう。 今はもう2019年、本来であればカリキュラムが確定し、そこで求められる什器・備品が発注されるべき時期であるが、今回のプログラミング教育導入に際しては、それすら間に合っていない学校も多い。
特に初年度については、アンプラグド(コンピューターを利用しない情報教育)が行われる学校も現れるだろう。 もちろん、それは悪いことではない。今回導入されるプログラミング教育の神髄が、コーディング技術の習得ではなく、プログラミング的思考の育成にあるのならば、パソコンやタブレットを利用したコーディング技術の教育は必須ではないからだ。
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