楽天、「ドローン」であえてライバルと組む理由 無人配送サービスで先行する京東集団と提携
国内のネット通販(EC)大手・楽天は2月下旬、中国EC大手の京東(ジンドン)集団と日本における無人配送サービスの提供に向けて提携することを発表した。楽天は自社で構築する無人配送の仕組みに、京東のドローンとUGV(無人地上配送ロボット)を活用する。
「配送産業の革命を起こしたい」。2月21日に都内で行われた共同記者会見で、楽天の安藤公二常務執行役員は言葉に力を込めた。
将来的に競合相手になる可能性も
楽天はこれまで、物流の最終段階にあたる消費者への配送、通称「ラストワンマイル」の無人化を目指し、ドローン配送の実証実験を繰り返してきた。子会社でドローンの衝突防止や飛行管理プログラムの開発も進めている。だが、ドローンの日常運営には至っていない。
一方、京東は中国で世界初の完全無人倉庫を運用するなど無人化技術で先行する。無人配送の運用実績も豊富で、すでに中国8省でドローン配送を日常運用している。UGVも2018年6月に一般道路走行を実現しており、河北省の経済特区・雄安で日常運用を始めた。
今回、固い握手を交わした両社だが、将来的には「競合相手」になる可能性がある。京東は中国でのECのみならず、昨年9月にタイで現地の小売り大手とともにECサイトを立ち上げた。
すでに越境EC(海外メーカーの国境を越えた通信販売を支援する仕組み)を展開している日本でも、ECサイト開設に踏み込むことも考えられる。そうなれば、日本のEC大手である楽天との競合は避けられない。