楽天、「ドローン」であえてライバルと組む理由 無人配送サービスで先行する京東集団と提携

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そのような両社が提携に至ったのは、なぜか。楽天側の狙いは、無人配送の日常運用の早急な実現にほかならない。「京東が中国で行っている定期(日常)運用を、2019年度に日本で実現することを目指す」(楽天の向井秀明ドローン・UGV事業部ジェネラルマネージャー)。

楽天はこれまで、ベンチャー企業の自律制御システム研究所と共同開発したドローンを使用してきた。そのドローンは、最大積載量2キログラム、最長飛行距離10キロメートルにとどまる。

対して、京東製ドローンは最大積載量5キログラム、最長飛行距離16キロメートルと性能が高い。このドローンを活用すれば、楽天は無人配送サービスの展開領域を一層拡大できる。

十分な「運用実績」が切り札に

法規制緩和への貢献も期待できる。現在、日本では都市部や空港周辺のドローン飛行規制が設けられており、それ以外の地域でも、目視の範囲外で飛行させる際に地域の航空局の承認が必要だ。UGVに至っては定義が不透明で、公道の走行が不可能な状況にある。

インドネシアでもジンドンはドローンの試験飛行を行った(写真:京東集団)

こうした規制の緩和や新たなルール設定には、高性能な機材の有無も影響する。その点、京東のドローン・UGVには十分な「運用実績」がある。「これまで国土交通省とともに、規制のあり方を考えてきた」(楽天の安藤常務執行役員)。楽天にとって、京東の技術はさらなる規制緩和に向けての切り札になるだろう。

提携の目的が明確な楽天に対し、即効的なメリットを感じないのが京東側だ。京東は無人配送の先進企業であり、実験段階の楽天から技術的な見返りが得られるとは考えにくい。ただ、会見における京東首脳のコメントを読み解くと、中・長期的な視点で事業拡大に寄与する提携であることが浮かび上がってくる。

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