私が「女性の華は30代」という考えを変えた理由 チヤホヤされる時代を過ぎてからの生き方

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中間管理職は上と下に挟まれて苦労ばっかりと聞いていましたが、上を説得し、下の力を引き出し、最前線の責任者として仕事をする醍醐味を味わえます。望んだポストに就けなくて、「あれれ」というような人事もありましたが、全体としては40代になってやっと働いていてよかったと思える仕事ができました。管理職にならなかった女性も、その分野のベテランとして職場で頼られる存在になっていきます。

2つ目はなんといっても、子育ての負担が減ったことです。いつの間にか「子どもが熱を出したからお迎えに来てください」と呼び出されることがなくなり、保育園の送り迎えの手配をしなくても自分で学校へ通ってくれるようになり、なんだかんだといいながら自分のことは自分でできるように成長してくれました。

今になるとあの頃もっと子どもたちと一緒に行動する時間をつくるべきだったとかすかな後悔が残りますが、子育てが負担でなくなり、むしろ楽しみになりました(もちろん、何がなんでも一流といわれる学校に進学させようと意気込むと大変でしょうが)。

3つ目は、恐れていたほど体力が衰えなかったことです。長寿時代、健康に働ける期間も長くなっているのです。

45歳くらいから女性の体調に影響を与える更年期症状については和らげる治療法もあるようです。20代、30代より睡眠時間も取れるようになり、寝不足でふらふらしながら通勤することもなくなりました。週末に子どもたちとサイクリングをしたり、ハイキングをしたりリフレッシュする時間も取れるようになりました。すこし自分の健康によい時間をつくり、燃え尽きないような生活がやっとできるようになりました。

第4に経済的に少し余裕ができて、外食や旅行やおしゃれもそこそこ楽しめるようになりました。私はできませんでしたが40代から習い事やゴルフを始めた友人もいました。

おそらく私に限らず多くの働き続けた女性は、40代になってやっと時間的にも経済的にも精神的にも少し余裕ができ始めるのではないでしょうか。

40代ならではの視点を持つ

年を重ねるのは悪いことではないと、女性も胸を張って言いましょう。

もちろん肌のハリは失われ、目じりにしわも増えてきます。早い人は老眼鏡が必要になったりします。それでも60代や70代の人から見ると若さにあふれています。

日本の男性たちは、なかなか40代の成熟した女性の魅力を認めてくれませんが、それはデメリットである反面メリットとして、女性は男性の目を意識しないで済むようになります。上司も部下も「女性」と意識してくれないのは少し寂しいですが、自由になります。

しかしその自由をどのように享受するか。「もう男性の目から見て魅力的である必要はないからおしゃれに気を使わない」と投げやりにならないでください。男性のためではなく、自分のために、社会的活動のために、感じのよい見た目を維持することは重要です。

周りから軽んじられないために、自分に似合う上質の服を身に着け、姿勢をよくし、堂々とふるまいましょう。自分はもう年だからと自分を見捨てて手入れを怠っていると周りからも軽んじられます。

そして何より大事なのは男性からも女性からも「さすがは」と一目置かれるようなふるまいをし、言動をすることです。自分の得意技を磨く、専門性を高めるだけでなく、少し目線を上げて自分の仕事だけでなく周囲の状況も見るように努めましょう。若いときに見えなかったことが見えるようになります。

チームでしなければならないことは何か、優先順位を判断する。そして苦しい立場の人を励ましたり、手を差し伸べる。日常の仕事に追いまくられている人たちを支えいたわる。さらには目利きとなって、将来延びる可能性のある若手を見出し、育てるのです。

女性もかわいがられ応援される立場から、若い人を引き立て応援する立場に少しずつ軸足を移す。そう心がけていると、若さを失っても名誉ある地位を占めることができます。

40代は人生のまんまん中、最盛期です。この時期を充実させることが実りある後半期につながります。

坂東 眞理子 昭和女子大学総長

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ばんどう まりこ / Mariko Bando

1946年、富山県生まれ。東京大学卒業後、1969年に総理府(現内閣府)に入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事、在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事などを歴任。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め、2003年に退官。2004年から昭和女子大学教授、2007年から同大学学長、2014年から理事長、2016年から総長を務める。著書に330万を超える大ベストセラーになった『女性の品格』ほか多数。

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