そもそも、女性社員のドレスコードは、男性と比べて選択肢が多く、ルールがあいまいです。事務職ならオフィスカジュアルと呼ばれる服装が中心で、ジャケットを着ない人も多いでしょう。営業職でも、ジャケットを羽織る程度でOKな職場もあれば、上下そろいのスーツが基本というところもあります。
年代による感覚の違いもあります。約25年前に営業研修を受けた筆者の場合、営業先にオープントゥ(つま先見えるタイプのパンプス)を履いていくのは失礼と教えられていたので、今でも抵抗感があります。しかし、20~30代では「問題なし」と感じる人が多いでしょう。
女性のビジネスシーンにおけるドレスコードは、社会人でも判断に迷うことがあります。ましてや、女子学生が就職活動で自分らしい格好をするというのは至難の業です。どこに落とし穴があるかわからない道を歩くのなら、すでに足跡がある、安全が保証されているところを選ぶでしょう。広い道にもかかわらず、みんなが狭い一本道をすすむ姿は、周囲から見れば滑稽にうつるかもしれません。でもそれは、彼女たちなりの知恵でもあるのです。
3月になり、面接を受ける機会が増えていきます。インターンシップや就活イベントでは、大勢いる参加学生の1人だったので、服装に多少不安があっても、悪目立ちすることはありませんでした。しかし、面接では一人ひとりチェックされます。服装や髪形のみならず、アクセサリー、カバン、靴の形、ヒールの高さなど、あらゆることが気になり、不安になりがちです。
大人の意見が分かれるなら、好みでも大丈夫
そんなときは、周囲の大人に相談するとよいでしょう。相談した人たちのアドバイスが同じときは、広く一般に通用するマナーととらえ、従ったほうが賢明です。しかし、前述のカバンのように、人によって意見が分かれるものは、自分の“好み”で選ぶことをお勧めします。
世の中にはさまざまな企業や人がいるので、ブランドもののバッグにバツをつける企業があるかもしれません。冒頭のスカートかパンツかという質問でも、マナーとしてはどちらもOKですが、自分が見慣れない女性のパンツスーツに違和感を覚える人がいるかもしれません。だから「ブランドバッグはやめよう」「スカートのほうが無難」ではなく、あえて自分が好きで選んだ格好で面接に臨むのです。
就職活動は内定先が決まれば、いったん終了になるので、意に沿わない格好でも、窮屈さを感じるのは一時的です。しかし、入社してから職場で過ごす時間は比べものにならないくらい長いのです。自分自身の居心地が良くないと、しんどいように思います。
自分に合った企業を見つけるためにも、マイナス評価にならないことを目的に、無難な“ザ・リクルートファッション”で身を固めるのではなく、自分の好き嫌いを基準に取捨選択したファッションで面接を受けてみてはいかがでしょうか。大切なのは、マイナス評価を受けないことよりも、ちゃんと自分を出して合否を受けることです。
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