広島カープの「キャンプ戦略」は何が違うのか 14年前の楽天、初の本拠地開幕戦も振り返る

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2月21日の阪神と広島の練習試合。6回、併殺を完成させ薮田(右)とタッチを交わす広島・小園(写真:共同通信社)

皆さんこんにちは、プロ野球解説者の礒部公一です。

春季キャンプも終盤にさしかかりました。各チームとも実戦的な練習のため、紅白戦や練習試合を行いながら今シーズンの戦い方を模索しつつ、開幕への準備を進めています。

春季キャンプは、数多くのチーム(韓国のチームも含む)が温暖な気候である沖縄に集まっています。もちろんオープン戦ではないのですが、練習試合という形で“試合勘”を取り戻す作業を行うのは効率的です。

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前回のコラムでもお話ししましたが、この時期の試合に出場する選手は若手が多いです。

若手選手は首脳陣にここでアピールし、チャンスをつかみ取らなければ、篩(ふる)いにかけられて別調整しているレギュラー陣と入れ替えをされてしまいます。投手ならば一球、打者ならば一振りを、死に物狂いで行っている真っただ中なのです。

広島カープのキャンプ調整の伝統

多くのチームは、このような形で調整していきますが、昨年までセ・リーグで3連覇を果たし、今季も優勝を狙っている広島カープは、この時期の練習試合からシーズン同様のベストメンバーを組んで試合を行っています。

これはなにも今年だけに限ったことではなく、私の知っている限りで言えば例年、カープは早い時期からレギュラー陣を使って練習試合をするという伝統があるようです。

考え方のひとつとして、ある程度レギュラー陣を固定し、選手個々に責任感を持たせ、その打順での自分の役割を明確にする、という訓練を開幕に向けての約1カ月間で養わせているのだと思います。

4連覇のかかる今季は、昨年まで不動の3番打者であり中心選手であった丸選手がFAで巨人に移籍し、人的補償で長野選手を獲得しました。

丸選手の抜けた穴は大きいです。実績のある長野選手を獲得したことで、ある程度その穴埋めはできるとは思いますが、なにも対処をしなければ、文字どおり“ある程度”の穴埋めになるかもしれません。

そういう意味でも、長野選手にはとくに移籍1年目ということもあり、打線の流れや各選手の技術や考え方を把握させるために、この時期から試合に出場させ、シーズンへの準備をしているのではないかと思います。

広島カープが常勝軍団になった理由として挙げられるのは、選手の育成方針にもあると思います。

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