どうなる?品川―田町間の新開発 10万平方メートルの一等地の再開発に注目

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11月23日未明から24日午前にかけて、品川駅付近で線路切り替え工事が行われた。これに伴い、品川―田町間にある車両基地「旧・田町車両センター」が廃止された。これまで、東海道線などの車両基地として使われてきたが、今後は隣接地に新設された新車両基地がその役割を担う。

どうなる?車両基地跡地の再開発

JR東日本は車両基地跡地を再開発する計画だ。敷地面積は10万平方メートルといわれており、六本木ヒルズや品川駅東口再開発に匹敵する大型プロジェクトとなる。

北関東の車両基地としては、尾久車両基地があるが、上野東京ラインが完成すれば、東海道線の車両基地として尾久車両基地を使うことも可能になる。品川の車両基地の機能が縮小すれば、その分だけ、再開発にはずみがつく。

品川の再開発エリアは品川駅と田町駅の中間にあるため、徒歩ではやや不便だ。そこで飛び出したのが、再開発エリアに「40年ぶりの山手線新駅」を作ってしまうという構想である。実現すれば、再開発エリアは山手線駅の駅前という最高の立地となるわけだ。再開発エリアの価値がはね上がるのは間違いないだろう。

実はこうしたJR東日本の壮大な戦略は、私の周りにいる鉄道ファン全員が知っている話だ。いまさら書くまでもないと思っていたのだが、先日の上野東京ラインの報道に関するかぎり、品川再開発に関連づけた記事は少ないように感じた。そこで、鉄道に詳しい人から「何をいまさら」と、笑われるかもしれないが、あえて取り上げてみることにした。

もうひとつ、鉄道ファンに「いまさら」と言われそうな話題を紹介する。JR東日本が東京都心と羽田空港を結ぶ新路線を整備する検討に入ったという11月9日の報道だ。

これは、田町駅付近から現在は休止中の東海道貨物線を通って羽田空港の手前まで行き、そこから新たにトンネルを整備して羽田空港の地下に乗り入れる計画である。

トンネルの整備には莫大なコストがかかりそうだが、問題はそれだけではない。羽田空港のアクセス鉄道である東京モノレールの筆頭株主もJR東日本。つまり、羽田新線が開業するとモノレールの利用客が激減しかねない。

JR東日本が羽田アクセス鉄道を2つも所有するのは、収益性の観点からベストな選択とはいえない。かといって、JR東日本がモノレールを廃止して新線に一本化するという案は現実的ではない。モノレールは天王洲アイル、大井競馬場、流通センターなどの利用者にとって重要な交通手段だからだ。羽田新線の実現へのハードルはかなり高そうだ。

ところで、羽田新線と上野東京ラインには何かシナジー効果があるのだろうか。もし羽田新線が東京駅に乗り入れれば、宇都宮線や高崎線から羽田空港への直通運転が実現するかもしれない。もっとも、山手線、京浜東北線、東海道線の過密ダイヤに羽田新線をどう割り込ませるかという疑問もある。

上野東京ラインの報道に接して、つい妄想が膨らんでしまった。今度は、鉄道ファン以外の人から、「鉄道ファンは話を始めると止まらない」と、あきれられてしまうかもしれないが。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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