バレンタイン「手作りチョコ」が復権した理由 友チョコを大量に配り始めた子どもたち

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では、なぜ手作りが今、ヒートアップしているのか。佐藤氏は簡単でおいしいレシピが増えたことや、レシピ動画の普及を挙げる。また、「去年の料理レシピ本大賞お菓子部門で大賞を取った『へたおやつ』(白崎裕子、マガジンハウス)など、ナチュラル系のお菓子に対するニーズの高まりはすごく感じています。そういうお菓子は買うと高いですが、自分で作ればおいしくて安全。その魅力に消費者が気づき始めている」と分析する。

「簡単」ニーズの高さは、cottaでもクックパッドでも顕著だ。簡単さをアピールするお菓子・パンのレシピ本も多い。「混ぜるだけケーキ」「こねないパン」といったワードは、インターネットでも、書店のレシピ本にも目立つ。

「○○フリー」を求める消費者たち

もう1つは、安全ニーズ。佐藤氏が挙げた『へたおやつ』は、小麦粉、卵、乳製品を使わず、型など特別な道具もなしで作れることを打ち出したレシピ本である。

近年、グルテンフリー、糖質制限などへの関心の高まりもあって、ダイエット目的を含む「〇〇フリー」を打ち出すナチュラル系のお菓子・パンの人気は高まっている。アレルギーを含めたニーズは多いが、それらの商品はどこのスーパーでも買えるものではない。そこで手作りしよう、と考える人たちがいるのだ。

手作りブームは、東日本大震災後に生活を見直そう、という機運が高まったことも影響していると考えられる。「ていねいな暮らし」という手作り生活が注目を集め、塩麹や手作り味噌など発酵食品を作るブームも起こった。自分の手を動かして作る楽しさに目覚める人もいれば、材料を把握できる安心感を求める人もいるのだろう。

誰でも簡単にお菓子を作ることができる。一方で、プロ並みの高度な技術を要するお菓子のレシピもある。市販品が手に入りにくいお菓子も、自分で作れば食べられる。自分のレベルや好みに合わせて、レシピを選ぶことができる時代なのだ。そして、プロが使うものなどマニアックな材料や道具も、安心できる食材も、専門サイトや専門店が充実して手に入れやすくなった。幅広い層にアピールする材料がこれだけそろっているのだ。お菓子作りがはやるのは必然なのである。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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