「部活」と「クラブ」はこんなに違う
奥田:そうですね。部活でサッカーをするのとは違って、結果を出さなければ1年で追いだされてしまう反面、別のチームに自由に入ることができます。ドイツはそもそも学校にサッカー部というのはなくて、地域ごとにサッカークラブがたくさんあって、自分でどこのチームに入りたいか決めます。トップにあたる全国レベルのブンデスリーガというプロリーグがあって、その下に2部リーグ、アマチュアのリーグと続くのですが、それがピラミッド上にひとつに組織化されているのです。
そのどこに所属しているチームに入ってもいいのですが、当然、上位のリーグにあるチームほど、サッカー選手になりたいと思うひとたちが集まりますから、選抜も厳しくなります。挑戦するのは自由ですが、たとえチームに入れたとしても、1年で結果が出せなければクビになってしまいます。その代わり、違うチームに挑戦するなり、プロサッカー選手を目指さずに楽しむというのなら、レベルを下げて自分に合ったチームに入ることもできるのです。
チームが部活とも全然、違う雰囲気なのも当然で、ドイツで所属したブンデスリーガのジュニアチームでも、その後に日本で所属したJリーグのユースチームでも、試合中に後輩が先輩を怒鳴ることもあるし、先輩でも芝生の掃除を自らするという光景が当たり前でした。部活のように後輩は先輩の言うことを聞くだとか、先輩になれば威張れるということはまったくなかったですね。年齢に関係なく、スーパーストイックにサッカーを突き詰める集団ということで、完全に平等でした。
仲:部活カルチャーで育つのとは、全然、違う影響を受けそうですね。日本の部活カルチャーは、一度入ったら環境が合わなくても、我慢して続けるか、あきらめるか。学校そのものを変えられない限り、その活動を続けるしか選択がないのではないでしょうか。
子どもの頃から奥田さんのような環境に置かれていると、終身雇用だとか、ひとつの環境で続けなければいけないという考えは、なくなるでしょうね。帰国子女に、転職したり、海外に就職することに抵抗がない人が多いのは、終身雇用が当たり前じゃないという感覚があるからかもしれませんね。
奥田:そうですね。そういう環境の影響は大きいでしょうね。
スタートアップはコントローラビリティが大きい
仲:スタートアップに転職してみて、この数カ月で苦労した点はありますか?
奥田:やはりスピードがとにかく速いですよね。初めはその速さにびっくりしました。1カ月くらいして、やっと慣れましたよ。あとはありがちですが、転職して引っ越そうと思ったら、不動産審査に落ちました(笑)。
仲:確かにそれはよく聞きますね(笑)。逆に面白みを感じるのはどんなところでしょうか。
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