「13歳でクビになった」から強くなれた グルメサイト「Retty」 奥田健太CFO(下)

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奥田:コントローラビリティが大きいということでしょうか。スタートアップのメンバーになるということは、自分でやろうと選択したことを、どのような方法でやるか、自分で考えて選択しながら進めることができますよね。それに対して、当然、責任も負うけれど、オーナシップを持てるという醍醐味がなにより面白い。

総合商社に入社するということは、「総合商社に入社する」ということがひとつの大きな選択であって、自分がどんな条件で、どんな仕事をどんな方法でやっていくか、ということは、なかなか選択できませんから。

あとは、僕自身が大きいチームで大きな仕事をやる、ということよりも、少ないチームで大きな仕事に挑戦するというストーリーに魅力を感じるほうなので、スタートアップはまさにその点で面白みを感じています。大人数で稼ぐより、小さいメンバーだとか個人にスポットが当たって、なにかやるというのは刺激を感じますよね。同じことが続く環境とか、未来が見えてしまう環境にいることよりも、先が見えない環境で自分がいろいろ挑戦できるほうが好きですね。

大企業に行ったからよかったこと

:なるほど。これまでスタートアップを選んだ5人の方と対談してきましたが、そういう価値観の人は多いですね。これも皆さんに聞くことなのですが、大企業に行っていたからこそよかったと思えるものはありますか?

奥田:ありきたりな話ですが、ビジネスマナーを身に付けられたというのはよかったと思っています。5年半は必要あったかといわれると、1~2年でもよかったかもしれませんが(笑)。特に商社は、メールの書き方とか、言葉遣いとか厳しいんですね。あと単語や漢字に対しても独特の文化を持っています。たとえばですが、「了解」を「拝承」と書いたり、「しかしながらも」という言葉も、つねに「然し乍ら」と漢字で書くとかですね。ちょっとやりすぎかと思いますが、マナーだとか言葉遣いって、知っているかどうかだけではなくて、注意されたりしながら使う習慣が身に付いているかどうかで、けっこう違ってくると思いますね。

それから、今、思っていることなのですが、スタートアップって全体的に人材の層があまり厚くないですよね。大企業はさまざまな領域のスペシャリストがいて、本当に優秀な人が、事業ごとにいるので、やはり人材の層が厚いですよね。そういう人たちと仕事ができたことは、それはすごくいい経験でした。

:おっしゃるとおり、大企業は人材の層が厚い。スタートアップ業界には、奥田さんみたいにファイナンスの経験者もいますが、やはり若いエンジニアが多くて、それ以外の人材はまだまだ少ないと感じています。アメリカのスタートアップは、大企業の第一線で活躍している人が、移ってくるという流れができていますからね。

実際、FacebookもTwitterもそうですし、大企業から来た人たちが活躍していますから。日本にもそういう流れが、できてくるとビジネスがもっと面白くなると思っています。Rettyは、その点、けっこう企業で活躍した人たちが集まっているのではないでしょうか。

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